マツダ MAZDA3ファストバック▲今回試乗したのは、2019年12月に発売となったマツダ MAZDA3ファストバックのスカイアクティブX搭載モデル。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるインプレッションをお届けする

マツダが初めて実用化した高効率エンジン

今回MAZDA3に搭載された「スカイアクティブX」は、ガソリン燃料を使って未知の領域まで熱効率を高めることを狙って開発され、ガソリンエンジンの伸びのあるパフォーマンスとディーゼルエンジン並の燃費を実現するという夢のようなパワーユニットである。

およそ32年前の内燃機関の学会誌で、フォードの予混合圧縮着火方式「HCCI」についての論文を見たことがある。

そして15年ほど前には、ドイツ本国のフォルクスワーゲンの技術者が、「今後ガソリンとディーゼルの良いところを身に付けたエンジンが生まれる可能性がある」と示唆していた。

しかし実際のところ、試作段階では評価が高くとも、実際にコストやドライバビリティなどの面を考えると実用化は難しかった。

マツダは、その実用化は困難とされていた予混合圧縮着火方式のエンジンを搭載したMAZDA3を登場させた。

試乗は静岡県・十国峠の山間部を中心とした場所で、トルクとドライバビリティが露呈する試乗コースである。ATおよびMTモデルに試乗できたので、そのときの様子をお届けする。

マツダ MAZDA3ファストバック ▲ガソリンの「圧縮着火」による燃焼でリーンバーン(希薄燃焼)を可能とし、少ない燃料で高効率な燃焼を実現するという

ゆっくりと流したくなるような上品さ
2.0 X Lパッケージ 4WD AT

初めは4WD 6ATのモデルだ。4名乗車の状態で出発する。

エンジンは、防音材で覆われている効果もあるだろうがとても静かだ。この部分は、通常のガソリンユニットと比べ何にも変わらない。

しかし走り出すと、他の2L NAクラスの車より静かで上品な立ち上がりをすることがわかる。

今回の試乗会で詳細が明らかになったのだが、スカイアクティブX搭載車には「M Hybrid」というマイルドハイブリッドシステムも搭載される。

このエンジンは燃料が薄い状態で着火させるため、大きな力を必要とする発進時などに力不足となることを補ってのことだろう。ちょっとした後押しのようなものだ。

一定速度まで上がり負荷が少ない領域になると、ウルトラリーン領域(理論空燃比よりもかなり薄い空燃比)で走らせることで燃費を向上させる。

マツダ MAZDA3ファストバック ▲ウルトラリーンの状態になると、モニターに「SPCCI」と表示される

スカイアクティブXは、最大出力とトルクこそ決して目立つ値ではないが、通常のガソリンNAエンジンでいえば2.2Lを超えるスペックである。

本来であればウルトラリーン領域を多用する試乗コース、例えば高速道路などの方が本領を発揮できるのではと思った。

6ATのミッションは4名乗車で重量が増すと、変速を繰り返すビジー状態になるケースが多々あり少し気になった部分だ。

しかし、乗り心地は悪くなく、ステアリングフィールもいい。細かな制御でよくこの滑らかな運転が可能になったと感心する。

上品なドライバビリティは、ゆっくりと流すような走りに向いていると感じた。

最高に楽しい1台と言える
2.0 X バーガンディ セレクション 4WD MT

マツダ MAZDA3ファストバック

ATモデルは、良くできているとは感じたが、正直言って感動するレベルのものではなかった。

そんな思いをもって、次は同じ4WDだが、6MTのモデルに試乗する。

アスファルトなどの舗装された路面では、マツダの4WDはとても良いと改めて感じる。

リアにも積極的に動力を分散させ、コーナリングと直進時の加速のスタビリティを確保する方向性になっているのだ。

マツダ MAZDA3ファストバック

シフトを1速に入れ、クラッチをやさしく合わせて発進する。

マイルドハイブリッドの恩恵もあって、やさしくも力強い発進を見せる。

エンジンを遠慮なく回すと、とてもスムーズで音も悪くない。急激にトルクが変動するようなことはなく、山間部でも非常に扱いやすく楽しい。

AT仕様とは打って変わって楽しさ倍増だ。しかも、この上品な出力を四輪が受け止めることで、コーナリングでの安心感は高い。

スポーティなハンドリングにも好感がもてる。

そもそもの話にはなるが、MAZDA3はバランスが良い車なのだと再認識する。特に4WD仕様はリアサスペンションの剛性も高く、通好みの印象だ。

MTモデルは最高に楽しく、感動を覚えるレベルだった。

スカイアクティブX、ぜひ異なるシチュエーションでも試してみたい。

マツダ MAZDA3ファストバック
マツダ MAZDA3ファストバック
マツダ MAZDA3ファストバック
文/松本英雄、写真/篠原晃一

【試乗車 諸元・スペック表】
●2.0 X Lパッケージ 4WD

型式 3AA-BPEP 最小回転半径 5.3m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.46m×1.8m×1.44m
ドア数 5 ホイールベース 2.73m
ミッション 6AT 前トレッド/後トレッド 1.57m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.82m×1.49m×1.16m
4WS - 車両重量 1510kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.14m
マニュアルモード    
標準色

ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ

オプション色

ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ

掲載コメント

-

型式 3AA-BPEP
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 6AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ
オプション色 ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.3m
全長×全幅×
全高
4.46m×1.8m×1.44m
ホイール
ベース
2.73m
前トレッド/
後トレッド
1.57m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) 1.82m×1.49m×1.16m
車両重量 1510kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント -
エンジン型式 HF-VPH 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 スーパーチャージャー 燃料タンク容量 48リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1997cc 燃費(WLTCモード) 16.2km/L
└市街地:12.7km/L
└郊外:16.5km/L
└高速:18.1km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準
+10%達成車
最高出力 180ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
224(22.8)/3000
エンジン型式 HF-VPH
種類 直列4気筒DOHC
過給器 スーパーチャージャー
可変気筒装置 -
総排気量 1997cc
最高出力 180ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
224(22.8)/3000
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 48リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 16.2km/L
└市街地:12.7km/L
└郊外: 16.5km/L
└高速: 18.1km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準 +10%達成車

●2.0 X バーガンディ セレクション 4WD

型式 3AA-BPEP 最小回転半径 5.3m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.46m×1.8m×1.44m
ドア数 5 ホイールベース 2.73m
ミッション 6MT 前トレッド/後トレッド 1.57m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.82m×1.49m×1.16m
4WS - 車両重量 1480kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.14m
マニュアルモード -    
標準色

ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ

オプション色

ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ

掲載コメント

-

型式 3AA-BPEP
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 6MT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ
オプション色 ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.3m
全長×全幅×
全高
4.46m×1.8m×1.44m
ホイール
ベース
2.73m
前トレッド/
後トレッド
1.57m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) 1.82m×1.49m×1.16m
車両重量 1480kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント -
エンジン型式 HF-VPH 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 スーパーチャージャー 燃料タンク容量 48リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1997cc 燃費(WLTCモード) 16.8km/L
└市街地:13.6km/L
└郊外:16.9km/L
└高速:18.6km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準
+10%達成車
最高出力 180ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
224(22.8)/3000
エンジン型式 HF-VPH
種類 直列4気筒DOHC
過給器 スーパーチャージャー
可変気筒装置 -
総排気量 1997cc
最高出力 180ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
224(22.8)/3000
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 48リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 16.8km/L
└市街地:13.6km/L
└郊外: 16.9km/L
└高速: 18.6km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準 +10%達成車
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。