ホンダモビリオ▲初代フィットをベースに開発されたモビリオ。ホイールベースを拡大して3列分のシートを収めている

ホンダ モビリオの中古車は今

2001年12月にデビューしたモビリオは、フィットをベースに開発されたコンパクトミニバンだ。

小さなボディにスライドドアを搭載し、ホイールベースを長くすることで室内空間を拡大。3列シートを備えている。

2002年9月にはモビリオの3列目席を取り払い、荷室の使い勝手を高めたモビリオスパイクが登場した。

どちらも生産終了から10年以上経過しているため、モビリオ中古車の流通量は約40台、モビリオスパイクは約70台と少なめ。

しかし価格帯は、モビリオが総額20万~50万円、モビリオスパイクが総額20万~60万円と中古車相場の底値域に達しておりお買い得な状況だ。

ここからはモビリオとモビリオスパイクの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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モビリオ(初代)の特徴と中古車相場

■モビリオ(初代) DATA
生産期間:2001年12月~2008年4月
中古車流通量:約40台
中古車価格帯:10万~40万円
 

ホンダモビリオ ▲前期型は子育て世代に向けてアットホームなデザインを採用

■モビリオ(初代)の特徴
1990年代に、広い室内空間を有して3列シートで大人数が移動できる車に人気が集まり、ミニバンブームが起こった。

その中で生まれた「もっと小型で扱いやすいものを!」という要望に応える形で誕生したのが、ホンダ モビリオだ。
 

ホンダモビリオ ▲ガラス面を大きく取り、開放感が高められた

モビリオのプラットフォームは、2001年5月にデビューした初代フィットと同じものが用いられている。

採用されたグローバルスモールプラットフォームは、薄型の燃料タンクを前座席下に配置することで広大な室内空間を確保できるのが大きな特徴だ。

ホイールベースをフィットより290mm長くすることで、室内長2435mm、室内高1360mmのサイズを確保。約4mの小さなボディの中に、3列シートを設置しても、3列目席まできちんと座れるような設計になっている。

モビリオはドアにも工夫が施されている。フロントドアは上部が大きく斜めに開く前傾ヒンジを採用したことで、狭い場所でも楽に乗降できるようになっているのだ。

また、スライドドア開口部は地上高を405mmに設定したことで子供や年配者でも乗り降りがしやすくなっている。

このスライドドアの助手席側は、給油中に300mm開けたところでドアが止まるよう設計されている。これにより、ガソリンスタンドでの給油中でも乗り降りすることができる。
 

ホンダモビリオ ▲ドアの上側を斜めに開くように設計したことで狭い場所での乗降性が高められた

パワーユニットはモビリオのために新開発した1.5Lエンジンを搭載。トランスミッションはCVTになる。

グレードは3種類で、新車時価格の低い順に下記のとおり。

・「Yタイプ」:エントリーグレード
・「Aタイプ」:電動格納式リモコンドアミラーなどが備わる中間グレード
・「Wタイプ」:木目調センターパネルなどが備わる上級グレード
 

ホンダモビリオ ▲着座位置を高めに設定したことで見晴らしの良さを実現。大きな三角窓が右折時の死角を減らしている

生産終了の2008年まで、改良やマイナーチェンジが重ねられた。主要なものは下記のとおり。

【2002年12月 一部改良】
・タッチセンサー&挟み込み防止機構付きのパワースライドドアを採用(Wタイプ)

【2003年5月】
・専用本革巻きステアリングホイールやディスチャージヘッドライトが備わる特別仕様車「WタイプCスタイル」を設定


ホンダモビリオ ▲イメージを大きく変えた後期型モビリオ

【2004年1月 マイナーチェンジ】
・前後の外観を一新

前期型のヨーロッパの路面電車をイメージしたスタイルから、洗練された都会的なデザインに変更された。

このデザイン変更で前期型よりもボンネットが高くなり、左右の前端に付いたポジションランプが運転席から見えることで前端の視認性が高まっている。

また、エントリーグレードの「Y」を除く全グレードでキーレスエントリーシステムと連動して足元を照らすアウターウエルカムライトが標準装備化された。
 

ホンダモビリオ ▲前後のバンパーに厚みをもたせてどっしり感を演出

・「XT」と「WT」の新グレードを設定

ともに両側電動スライドドアを搭載。この2つのグレードは、トランスミッションが7速MTモード付きのCVTになる。
 

ホンダモビリオ ▲前席から後ろにいくほど着座位置が高くなるシアターレイアウトを採用

【2005年12月 一部改良】
・グレード展開を下記のとおり変更

「Aタイプ」:エントリーグレード
「Xタイプ」:スポーティな仕様の装備
「Wタイプ」:充実装備グレード

・新デザインのステアリングホイールを採用

・パワースライドドア、イージードアクローザー、イモビライザー、アレルフリーフィルターが全グレード標準装備化

■モビリオ(初代)の中古車相場
デビューから20年が経過したモビリオの中古車はかなり少なくなり、40台ほどしか流通していない。

前期型はほとんどないため、よほどデザインへのこだわりがなければ、後期型から目当ての車を探すのが定石。

購入価格を抑えるなら、総額30万円前後の最安値帯をチェック。タイミングが良ければ走行距離6万km程度のものを見つけることができる。

オススメは2005年以降に標準装備となった両側電動スライドドアを備えるモデル。しかし、流通量は5台以下と少ないため、条件に合うものがあれば積極的に狙っていきたい。

上級グレードの「1.5X」と「1.5W」も5台程度しか流通していない。装備にこだわる人も早めの決断をした方が良さそうだ。
 

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モビリオスパイク(初代)の特徴と中古車相場

■モビリオスパイク(初代) DATA
生産期間:2002年9月~2008年4月
中古車流通量:約80台
中古車価格帯:10万~50万円
 

ホンダモビリオ ▲モビリオとはガラリと表情が変えられたモビリオスパイク

■モビリオスパイク(初代)の特徴
モビリオがデビューした翌年に誕生したのが、2列シート仕様のモビリオスパイクだ。

モビリオスパイクは単に3列目シートを外したのではなく、車で遊ぶというコンセプトに合わせ、デザインをモビリオと大きく変えたモデルである。

エクステリアは、ツールボックスをイメージした四角感を強調したデザインになっている。スライドドア後ろのリアクオーターピラーはモビリオがガラス面になっているのに対し、モビリオスパイクはガラスを廃し極太のピラーを配している。
 

ホンダモビリオ ▲ガラスを廃したリアクオーターピラーが特徴的。ここが遊び道具の収納スペースになる

荷室のリアクオーターピラー部分は、A3サイズのフリースペースになっている。左右それぞれ6ヵ所のブラケットが付いているので、アイデア次第で様々な使い方ができる。

テールゲートにはフックが設けられ、ウエットスーツなどがかけられる。荷室のフロアに近いサイド部分には小物をしまえる隠しポケットが設けられ、遊びのギアとしての使い勝手が高められている。

長いラゲージスペースに加え、助手席をフルリクライニングすると奥行き2620mmのスペースが現れる。そのため、デビュー時はコンパクトモデルながら車中泊を楽しむ人たちからも人気が高かった。

グレードは上級グレードの「Wタイプ」、中間グレードの「Aタイプ」、エントリーグレードの「Yタイプ」を設定。パワーユニットは1.5Lエンジン+CVT。「Wタイプ」と「Aタイプ」のCVTは7速MTモード付きになる。
 

ホンダモビリオ ▲最大で2620mmの室内長が出現するので、サーフボードなどの長い荷物も楽々積める

何度か改良やマイナーチェンジが重ねられている。主要なものは下記のとおり。

【2003年5月 一部改良】
・「Wタイプ」と「Aタイプ」に、本革巻きステアリングやオートエアコンが備わる「Lパッケージ2」を設定

【2004年2月 一部改良】
・大型メッキグリルとリアバンパーガーニッシュを採用
・リアカメラ付き・音声認識Honda・HDDナビゲーションシステム、イモビライザー、撥水シート表皮&撥水ドアライニング表皮などをオプション設定

ホンダモビリオ ▲マイナーチェンジで大きくイメージを変え、親しみ感のあるデザインになった

【2005年12月 マイナーチェンジ】
道具感のある前期型から大きくデザインが変わり、親しみやすさを感じさせるデザインに生まれ変わった。

室内空間では前席にカップホルダーとユーティリティボックスを内蔵。荷室には角度調整機能が付いたスポットライトを搭載。

リアクオーター部分には左側にリッド付きのスケルトンボックス、右側にブラインドボックスが取り付けられている。
 

ホンダモビリオ ▲写真左がブラインドボックス、右がスケルトンボックス。どちらも遊びで使う小物をしまうのに便利

■モビリオスパイク(初代)の中古車相場
すでに生産終了から10年以上たっているモデルということもあり、約80台流通している中古車のうち50台以上が2005年12月以降の後期型になる。

“道具感”を前面に押し出した前期型は総額50万円以下で探すことができるが、走行距離の少ない物件を見つけるのは難しい。

そこで、オススメは選択肢の多い後期型。中古車相場が底値を打っているため、後期型でも総額30万円から狙えるという状況だ。

ただし、レジャーシーンで使用されることが多かったモデルだけに、この総額30万円以下の最安値帯は走行距離10万km前後の物件が多い。

予算を50万円までアップすれば、走行距離7万km以下のものも見つけやすくなる。

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※記事内の情報は2021年8月3日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/ホンダ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL