▲郵便番号、今では7ケタが常識だけど、昔はもっと短かった…… ▲郵便番号、今では7ケタが常識だけど、昔はもっと短かった……

いろんな物事が便利に、スピーディに

平成元年から始まった当企画も、いよいよ平成10年編。

ついに全体の3分の1まで到達したわけです…

まだまだ先は長いな。

さて、平成10年、1998年といえば、警察車両にパトレイバーが投入され(機動警察パトレイバー)、ラクーンシティでアンブレラ事件が発生した年(バイオハザード)。

現実は随分違っていて、平成最初の長い不景気がまだまだ続いていました。

大企業や大手金融機関がバンバン倒産。

そんな厳しい状況の中で発足したのが、小渕恵三内閣でした。

発足当初は「冷めたピザ」とかやゆされて支持率も低かったけど、自自公連立を成し遂げたり金融再生法を成立させるなどの功績が評価され、どんどん支持率を上げていきました。

郵便番号が7ケタになったのも、この年。

平成生まれの人にとっては「え、最初から7ケタじゃなかったの?」って感じでしょうが、昔は3ケタとか5ケタが普通だったん「だっちゅーの」(by パイレーツ。1998年新語・流行語大賞)。

車のグローバル化も急加速

▲1998年4月、明石海峡大橋が開通。淡路島や四国に車で行きやすくなった ▲1998年4月、明石海峡大橋が開通。淡路島や四国に車で行きやすくなった

ちまたの女子ファッションでは、キャミソールが人気に。

当時、すでに20代後半になってた僕からすると、「大丈夫? 火事で焼け出されたの?」とか思って見てました(その頃、勤めてた会社は渋谷にありました)。

以来、順調にオッサン化の道を歩んでおります。

さて、1998年に登場した車は?

相変わらずSUVやミニバン人気も続いていたんだけど、R34型日産 スカイラインやBE/BH系スバル レガシィ( 3代目)、ホンダ インスパイア(3代目)など、スポーティ路線のセダンが元気に。

それまで、このカテゴリーは国内メインのガラパゴス系が多かったけど、ほとんど同じ仕様のまま海外市場でも展開する車種が多くなっていきました。

当然、より多くの開発費を投入できるわけで、全体的に車の完成度が上がっていったのです。

外観デザインは今見ると地味だけど、そこもまた良し!

草の根モータースポーツを支えた名車

▲競技への参戦を前提に開発されたストーリアX4 ▲競技への参戦を前提に開発されたストーリアX4

それでは、平成10年に登場した車の私的トップ3を発表しましょう。

第3位は……じゃじゃん、ダイハツのストーリア!

えぇ、他にも日産 キューブとかいっぱいあるのになぜそこ? と思われる方も多いでしょう。

ストーリア自体は超コンサバなコンパクトハッチでしかないですし、走りやデザイン、内装の作りなんかも特筆すべき点はないのですが、あるグレードを設定してくれていたことが選出の理由。

それは「X4」という、モータースポーツ参戦のベース車両に特化したグレードだったのです。

他グレードのエンジンが排気量1.3Lおよび1Lだったのに対して、「X4」は713ccターボエンジンを搭載。

これは当時のJAF国内競技規則に合わせたものでした。

排気量ちっちゃいのに、ターボのブースト圧が凄くてバカッ速仕様。

駆動は4WDのみ、5MTのみ、ボディカラーもホワイトのみ、と完全に競技にしか使えない仕様です。

ダイハツは古くからアマチュアが参戦するモータースポーツのために……って、この話、長くなるのでやめときましょう。

2004年には販売終了しちゃったけど、今でもダートラなど草レースやる人にはオススメの車ですよ!

高級路線ではなくスポーツ路線

▲欧州セダンを意識しまくった乗り味が新鮮だったアルテッツァ。2代目は日本でもレクサス「IS」になったから、アルテッツァの名称はこの代のみ ▲欧州セダンを意識しまくった乗り味が新鮮だったアルテッツァ。2代目は日本でもレクサス「IS」になったから、アルテッツァの名称はこの代のみ

続いて2位は、トヨタ アルテッツァでいかがでしょう?

カーセンサー編集部の「てんちょ~」こと大平氏がアルテッツァ好きだから忖度して……ってわけじゃありません。

実際、和製BMW 3シリーズって感じ(馬鹿にしてないヨ)の、上出来なFRセダンだったからです。

特にVVT-i(可変バルブ機構)搭載の2L 3S-GE型エンジンは自然吸気(ターボ付きじゃないこと)なのに最高出力210psも出てて、なかなか刺激的。

このサイズの国産セダンにしては車重が重めだったけど、パワーには全く不足ないし、輸入車みたいに剛性感が高くて良かった。

海外では当時まだ国内展開されてなかったレクサスの「IS」として販売されていた背景も、実力派であることを裏付けてます。

あ、でも女子にはモテナイ車かも。

運動神経には自信あるんだけど見た目が地味。でも本当はちょっと荒々しいところもあるって性格、モテ要素低いもんね。

中古車市場では今まさに現役

それでは第1位の発表に入ります。

平成10年生まれのベストワンは、トヨタ ランドクルーザー100に決定。

トヨタがもっていた技術を全力投入して、当時、世界最高レベルのSUVに仕上げたという点で評価できると思いません?

特に高いオフロード性能を維持しながら、ランクルとして初めてフロント側サスを独立懸架化、スカイフックTEMSなどの最新技術を存分に取り入れて、高級サルーンにも匹敵する乗り味にしちゃったのは凄い功績でした。

ランクルにV8ガソリンエンジンが搭載されたというところもセンセーショナル(先代のランクル80に搭載されていたガソリンエンジンは直6のみ)。

現在でも中古車市場では人気があるって事実も、名車であることを物語っているでしょう。

▲電子制御化された上質な乗り味、本革などをふんだんに使った豪華な内装から「四駆のセルシオ」とも評されたランクル100 ▲電子制御化された上質な乗り味、本革などをふんだんに使った豪華な内装から「四駆のセルシオ」とも評されたランクル100
 

おー、こうして平成10年生まれを眺めると、いかにも車好きに好かれそうな実力派揃いじゃないですか。

ハイパワー化、ハイテクノロジー化へとちゅうちょなく突き進んでいった、ある意味シアワセな時代。

ちなみに今、私が乗ってる車も平成10年生まれです。

text/田端邦彦
photo/田端邦彦、トヨタ、ダイハツ、Adobe Stock