▲Ferrari 488 Pista ▲Ferrari 488 Pista


2018年3月6日、スイス・ジュネーブ発 Ferrari 488 Pistaは、フェラーリ史上最もパワフルなV8エンジンを搭載し、サーキットで培った技術を惜しみなく注ぎ込んだスペシャルシリーズ・スポーツカーの最新バージョンです。フェラーリが誇る比類無きモータースポーツの伝統を表現すべく、イタリア語でサーキットを意味するPistaがモデル名に選ばれました。

技術面では、世界でも権威あるワン・メイク選手権、「フェラーリ・チャレンジ」における488 ChallengeとGTレースの最高峰、「FIA世界耐久選手権」における488 GTEが、世界各国のサーキットで積み上げてきた経験が488 Pistaに注ぎ込まれています。

488 Pistaに搭載されるエンジンは、出力720cvまで増強されました。新設計のチタニウム製コンロッドをはじめ、カーボンファイバー製インテークプレナムの導入などで軽量化も図られています。後方に搭載したインバート型ラジエター冷却システムもChallenge由来のテクノロジーで、高温ストレス時にも冷却効果を改善し、最適な性能を維持します。

エアロダイナミクスも488 GTEとフォーミュラ1での経験が生かされています。新導入のフロントのSダクト、そしてリアスポイラーおよびディフーザー・プロフィールなどで、488 GTBに比較してエアロダイナミクス効率を20%向上させました。それ以外にも、リチウムバッテリー、フェラーリ初となるカーボンファイバー・ホイールリムなど、サーキットで生まれた新技術や新素材を導入することによって、488 Pistaは488 GTBよりも90kg軽量化されました。

Challenge Stradaleで始まり、430 Scuderia、458 Specialeと続いてきたスペシャルシリーズ・モデルと同じように、この新型ベルリネッタは、究極のパフォーマンスとレースカー・スタイルのハンドリングを完璧に融合させた組み合わせた車輌です。

ビークルダイナミクスは、ユニークなドライビング・フィードバックによって、プロフェッショナルからアマチュアの方まで、どなたでも車輌のポテンシャルを最大限引き出してドライビングを楽しんでいただけるよう設計されています。

マネッティーノの「CT-OFF」ポジションで使用可能な新型オーバーステア・マネジメント・システムをはじめ、各設定による個別のビークルコントロールも、極限の性能をより簡単に引き出せるよう開発されています。

「RACE」ポジションで利用可能な新ギアシフト戦略は、真のレーシングカーに匹敵する、スポーティーなドライビング・エクスペリエンスを提供します。

488 Pistaは、これまでプロのレーシングドライバーでなければ味わうことのできなかった、高次元の胸躍るドライビング・エクスペリエンスを、すべてのドライバーにお届けし、フェラーリならではのドライビングプレジャーに、新たな基準を設定する車輌です。

また、488 Pistaのボディラインは、488 GTBをベースに、機能的なレース仕様の要素を伝統的スタイリングに即して融合させ、スポーティーな魂を強調するようデザインされています。

エンジン

488 Pistaのエンジンは、8,000rpmで720cvの出力を発揮し、比出力はこのクラス最高の185cvを達成しました。一方、トルクはすべての回転域でこれまで以上に強大で最大770Nmに達します(488 GTBより10Nm以上増大)。この最新進化型ターボエンジンは、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーに輝いた、V8エンジンをベースに開発されました。

488 GTBと比べて50cvという大幅な出力向上は、歴代フェラーリ・スペシャル・シリーズ・カーの中でも最も大きな飛躍で、先代モデルを115cvも上回ります。つまり、この新型V8は、すべてのエンジンのベンチマークとなる性能を実現させたのです。

488 GTBのスポーティー・バージョンを開発するにあたって、フェラーリのエンジニアチームは、世界最高のエンジンとして認められたパワーユニットをさらに改善するという高度かつ困難な課題に挑みました。レースでの経験を最大限に活用し、いくつもの最新鋭技術をテストから生まれた488 Pistaのエンジンは、488 GTBとは異なる新設計のコンポーネントが全体の50%以上を占めるに至りました。

ターボインテークをボディサイドからリアスポイラー部分に移設し、プレナムに直結させたエアインテーク・レイアウトなど、488 Challengeの開発で培った新機能を活用しています。これによって流体動力学的な負荷損失が大幅に軽減され、クリーンな気流がより大量にエンジンに送り込まれ、出力向上につながりました。

エアインテークのサイドからリアへの移設によって、より大型のインタークーラーを設置するためのスペースも確保できました。488 Challengeをベースとする冷却レイアウトと、後方に傾斜させたインバーテッドレーキ(逆傾斜)ラジエターによって、排熱気流をインタークーラー・インテークから離れたボディ側面下への排気を実現させました。これによって、サーキットなどで前の車輌の背後に着いて走行するような過酷な条件下でも出力を確実に維持できます。

特製バルブとスプリングを新設計のカムプロファイルと組み合わせことによって、このエンジンはレーシングカーに匹敵するアグレッシブな特性を発揮します。ピストンとシリンダーヘッドは、燃焼室の最大10%の圧力増大という高負荷に耐えられるよう、強化されています。またDLCコーティングを施したピストンピンの導入等によって、内部摩擦の低減にも注力しました。

488 Pistaのエンジンは、Challengeバージョンで導入した軽量コンポーネントを採用することで488 GTBのエンジン比で18kgも軽量化されました。エグゾーストマニホールドは超合金インコネル製です。クランクシャフトとフライホイールも軽量化しています。さらにはチタン製コンロッドの導入など、回転部品の軽量化によって慣性を17%軽減しました。ドライバーは、エンジンの素早い吹き上がりから、この軽量化の利点を明確に実感できます。

統合回転数センサーを備えたターボも488 Challengeに由来します。このモデルのために特別に開発した最新の制御戦略によって、このターボは瞬時に、488 GTB以上に素早く反応します。新設計のペダルマップも、限界域での走りをより簡単にします。

最後にFerrari 488 Pistaのエンジンは、スペシャルバージョンのフェラーリV8スポーツカーに相応しく、独特な紛れもないフェラーリ・サウンドを奏でます。新設計のインコネル製エグゾーストマニホールドとエグゾーストバイパスロジックの最適化が、上質で強烈なサウンドの創出に貢献しています。すべてのギア、すべてのエンジン回転数エグゾーストを響かせ、そのサウンドレベルは回転数の上昇とともに拡大し、最大8dbに達します。

ギアボックス

スポーティーなドライビング・フィードバックは、サラブレッド・レースカー特有の高性能ギアシフトによってさらに高められています。マネッティーノの「RACE」ポジションで利用可能な新ギアシフト戦略は、フルスロットルでシフトタイムを最大30ミリ秒短縮します。この効果は、高いギアでより明確に感じていただけるでしょう。

このモデルでは、大成功を収めたフェラーリ・バリアブル・トルク・マネージメント戦略がすべてのギアに採用されています。卓越したスポーツ性に合わせて、レッドゾーンに到達するまで途切れることなくスムーズかつパワフルな加速が得られるよう、すべてのトルク曲線を見直し、再設計しました。

ビークルダイナミクス

ビークルダイナミクスの開発は、ラップタイム、スタンディングスタート、ドライビングプレジャーに関して優れた機械的性能を発揮させ、誰もが高性能を余すことなく活用して楽しむことができる車輌を創造することを目標に進められました。

これを達成するために、エンジニアチームは、様々な軽量化ソリューションの採用をはじめ、新世代サイドスリップ・コントロールシステム(SSC 6.0)の開発、ブレーキシステムの効率改善、専用タイヤのミシュランスポーツカップ2の開発を含め、多面的な開発作業に取り組みました。

488 Pistaは、488 GTBよりも90kg軽量です。このことは、俊敏性とレスポンスの面で多大な優位性をもたらします。この優位性を拡大するため、バネ下重量や、車輌重心から離れたコンポーネントなど、質量増大に最も敏感なエリアを中心に軽量化を図りました。

ボディシェルも、軽量化に重点を置いて設計されました。カーボンファイバー、レクサンなど、超軽量素材を幅広く採用しています。

さらには、フェラーリとしては初めてとなる20インチのカーボンファイバー製ワンピースホイールリムをオプションで用意しました。制動時に発生する熱を効率的に発散できるよう、スポークとチャネルに航空宇宙産業用に開発された特殊コーティングが施されています。

またダイナミック・ビークル・コントロール・システムもさらに進化し、488 GTBに搭載したSSC(サイドスリップコントロール)コンセプトの新バージョン6.0と統合した新アクチュエーションシステムを導入しました。

またフェラーリのロードカーとしては初めて、フェラーリが開発したソフトウェアによってブレーキキャリパーの制動圧を調整するラテラル・ダイナミクス・コントロール・システムを装備しました。マネッティーノの「CT-OFF」設定では、フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)も利用できます。FDEは、サイドスリップアングルの予測値を含め、横方向ダイナミクスの変数を調整します。このコントロールシステムは、コーナリングとコーナーを抜ける際に事前介入し、キャリパーを軽く作動させます。その結果、システムはサイドスリップアングルの変化を管理し、高速走行時における横方向ダイナミクスの事前予測を可能とし、直感的な操作を実現させます。したがってFDEはスタビリティコントロールシステムではなく、性能を最大限発揮することを目的としたシステムです。

SSC 6.0システムにFDEを組み込むことで、継続的なオーバーステアにもより簡単に対処できるという安心をドライバーにもたらします。ドライビングスキルがそれほど高くなくても、簡単に限界性能を引き出し、余裕をもって車輌をコントロールできるようになりました。

エアロダイナミクス

圧倒的な性能を誇る488 GTBのエアロダイナミクス特性をさらに20%も改善することで、最高速度が伸び、中高速サーキットでのラップタイムが大幅に改善され、ドライブする楽しさも向上しました。

V8ターボエンジンは、488 GTB搭載エンジンよりも出力を50cv強化しています。エアロダイナミクスの改良によって、プレナムに送り込まれる吸気温度を低下させたことも、パワーアップに貢献しています。車輌の熱流体力学的開発は、パワートレインを冷却することを目標に進められました。

パワートレインの性能を確実にするためには、インタークーラーを488 GTBよりも25%大型化する必要がありました。放射面の拡大に伴う重量とドラッグ増加を最小限に抑えるために、車輌全体の効率改善を集中的に研究し、放射面積の拡大をわずか7%に抑えることに成功しました。インタークーラーの効率改善に最も貢献したのは、フロントエリアの大胆なレイアウト変更でした。

フロントラジエターの搭載位置は、フロントラジエターから排出される高温気流とインタークーラー用インテークに取り込む新鮮な気流との間の熱境界層の干渉を最小限に抑えるよう設計を見直し、ラジエターを後方に傾斜させて搭載しました。これにより高温の排気流をフロントホイール前のアンダーボディに排出することが可能となり、リアに搭載したインタークーラーの効率は10%向上するだけではなく、タイヤの露出領域をバーチャル・フェアリングすることでドラッグを7%低減させるというエアロダイナミクス面での有益な効果ももたらします。

エンジン・エアインテークの位置は、ボディ側面からリアスポイラーに移動しました。スポイラーの特殊形状が強力な再圧縮効果を発揮するため、高圧によるエンジンへの十分な吸気が確保されます。またインレットダクトが短くできるため、減圧を抑え、エンジン性能の強化も図ることができました。

効率的なダウンフォースの獲得に向けて、フロント全体、特にバンパーとボンネットを再設計しました。この車輌に導入されたフォーミュラ1由来のイノベーションは、ロードカーに初めて採用された「Sダクト」です。フロントバンパーのインテークから送られたエアを、較正セクションを持つエアロダイナミックダクトを経由してボンネットのベントから排出するこのシステムによって、フロントアクスルのグリップは強化されます。

またフロントインテークの効果、センター・ロアウイング断面によってさらに強化しました。この弧を描くウイング断面は、スプリッターとして作用し、気流を加速させて、Sダクトに取り込む空気を増大させます。また、エンジン性能を向上させるだけではなく、ウイング下面に生じる気流を加速させることで低圧エリアを生成して、ダウンフォースを強化します。

このソリューションの導入によって、ドラッグの増大を488 GTBと比較してわずか2%に抑えながら、総ダウンフォース量を18%も増大させることができました。

フロントホイール前方のバンパー・エクステリアセクションも、大幅に設計し直しました。その結果、488 GTBに較べてダウンフォースが23%強化されました。フロントバンパーのラジカルなスクープは、エアロダイナミック・エレメントを最も効率的なエリアへの配置を実現させました。フロントバンパーの容積をホイールアーチに向かって増やすことで、ホイール前方の気流を外側に偏向します。その結果、ホイールアーチとディフューザーを装備したフロントアンダーボディに負圧を生じさせ、フロントのダウンフォースを強化します。

リアサイドでは、ブロウンスポイラー・システムとリアホイール後方のベントの2つの要素がダウンフォース生成に貢献しています。

デザイン
エクステリア

フェラーリ・デザインセンター・チームは、エアロダイナミクスの改善に注力して作業を進め、フロントのSダクトなどのイノベーティブな要素を、車輌のノーズを短く見せるための手段として、独創的なウイング効果を演出しました。

側面で最たる変更点は、488 GTBにあったサイドエアインテークのスプリッターがなくなったことです。フロントでは、フロントバンパーから始まるエアロダイナミック・プロフィールが、リアディフューザーの側面付加物まで続いています。

軽さを感じさせる、フロントのデザインは、ドルフィンテール型のリアスポイラーにも反映されています。またリアのボリュームは、テールにパワーを感じさせます。

488 Pistaの全長にわたる2トーンのボディカラーは、フロントバンパーから始まり、Sダクトを2色に塗り分け、リアスポイラーへ至ります。

コックピット

インテリアは、明確なレースカー的フィーリングを備えています。カーボンファイバーやアルカンターラなどの軽量ラグジュアリー・ハイテク素材が、入念に仕上げられたコックピットにマッチします。
また、グローブコンパートメントの代わりにリアベンチとドアにストレージポケットを設け、ダッシュボードの下部エリアすっきりとさせました。

▲Ferrari 488 Pista ▲Ferrari 488 Pista
▲Ferrari 488 Pista ▲Ferrari 488 Pista

Ferrari 488 Pista

諸元
エンジン

タイプ:V8-90°ツインターボ
総排気量:3,902cm3
最高出力*:530kW(720cv)/8,000rpm
最大トルク*:770Nm/3,000rpm:7速ギア
比出力:185cv/l
最高許容回転数:8,000rpm
圧縮比:9.6:1

サイズ&重量

全長:4,605mm
全幅:1,975mm
全高:1,206mm
フロントトレッド:1,679mm
リアトレッド:1,649mm
空車重量**:1,385kg
乾燥重量**:1,280kg
乾燥重量/出力:1.78kg/cv
前後重量配分:41.5% フロント-58.5% リア
トランク容量:170 l
燃料タンク容量:78 l

タイヤ

フロント:245/35 ZR 20 J9.0 リア:305/30 ZR 20 J11.0

ブレーキ

フロント:245/35 ZR 20 J9.0 リア:305/30 ZR 20 J11.0

トランスミッション&ギアボックス

7速F1デュアルクラッチギアボックス

電子制御

E-Diff3、F1-Trac、フェラーリ・プレフィル付き高性能ABS/EBD、FrS SCM-E、FDE付きSSC

パフォーマンス

0-100km/h加速:2.85秒
0-200km/h加速:7.6秒
100-0km/h制動距離:28.5m
最高速度:>340km/h
フィオラーノ・ラップタイム:1分21秒5

燃料消費量&CO2排出量

燃料消費量***:11.5 l/100 km
CO2 排出量***:263g CO2/km

* 98 オクタンン燃料使用
** オプション装備車輌
*** HELE装備車 ECE+EUDC 複合サイクル:ホモロゲーション取得中



フェラーリに関する最新情報は、Ferrari.com(日本語版)よりご覧いただけます。
http://www.ferrari.com/