日産 サクラは「買うと後悔する」残念な車なの? 人気軽EVのメリット・デメリット、買うべきかを自動車評論家が解説!
2024/11/17
日産 サクラは本当に「買うと後悔する車」なのか?
日産 サクラのことが気になってネットで検索してみると、「後悔」「残念」などの不穏なキーワードが出てきます。
そういったキーワードを見かけると、せっかく前向きに検討しはじめたタイミングなのに、何だかすごく不安な気持ちになってしまうかもしれません。
しかし「それってそもそも本当なのだろうか?」 ということで、様々な車を知る自動車評論家が疑問にお答えします!
日産 サクラのモデル概要と中古車状況
日産 サクラは、2022年6月に発売された軽乗用車のEV(電気自動車)。
内外装デザインには「和のテイスト」が上手に織り込まれていて、ボディサイズは日産 デイズやスズキ ワゴンR、ホンダ N-WGNなどの、一般的な軽ハイトワゴンとおおむね同じ「全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mm」という非常に扱いやすいサイズ感。
そして車内高も1270mm確保されており、十分なものと言えます。
そんなボディのフロア下には20kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載されていて、1回の満充電で走れる距離は180km(WLTCモード値)。
普通充電の場合は約8時間で100%の充電が可能で、街中や高速道路などにある急速充電器を使う場合は、約40分で80%までの充電が可能です。
また、V2Hというシステムを導入することで、バッテリーに蓄えた電気は家庭に給電することも可能。非常時には約1日分の電力を賄えるとされています。
エンジンの代わりに車を動かす電気モーターは、ガソリンターボの軽乗用車と同じ最高出力64psを発揮しますが、「力強さ」を意味する値である最大トルクは、一般的なガソリンターボの軽乗用車の約2倍に相当する195N・mです。
そんな日産 サクラのグレードは、上から順に「G」「X」「S」の3種類に分かれていて、その他に特別仕様車として「X 90周年記念車」もラインナップされています。これらのうち、最も安価な「S」はレンタカーなどの法人需要向けグレードです。
日産 サクラは現行型モデルなので、新車で購入することが可能ですが、デビューから約2年半経っていることもあり中古車も増えています。
2024年11月中旬現在、日産 サクラの中古車流通量は全国で900台以上と、非常に豊富です。
価格は一番安いもので総額約130万円、一番高いもので総額約300万円といったところで、平均価格は前述日現在、車両価格175.8万円。しかし総額100万円台前半の価格でも、走行数千kmレベルの低走行物件を見つけることが可能です。
現在、グレード別の中古車流通量と価格はおおむね以下のとおりです。
G(上級グレード)|約260台|総額165万~300万円
X(中間グレード)|約600台|総額140万~270万円
X 90周年記念車(特別仕様車)|約25台|総額185万~260万円
S(法人向けグレード)|約20台|総額140万~190万円
流通量の豊富さと価格から考えると、やはりグレード選択は「標準のXか、それとも上級のGか?」という二択になるでしょう。
「日産 サクラ 後悔」は本当か?
さて、ここからは「日産 サクラは後悔する車なのか?」という本題に戻りましょう。
ネットで「サクラ 後悔」というキーワードでヒットする記事を見てみると、“後悔”の主な内容は「航続可能距離が短い」ということと「充電の不便さ」の2点に大別できます。
まず「航続可能距離が短い」という点について考えてみると、確かに日産 サクラの一充電走行距離(1回の満充電で走れる距離)は180kmですので、300kmぐらいは走れることが多い「普通車のEV」と比べると、明らかに短いと言えます。
それゆえネット空間では「サクラは航続距離が短いから大変だ! 買うと絶対後悔する!」的に言われることも多いのですが、これは考え方次第というか、人それぞれの使い方次第で結論が変わる問題です。
往復で100km前後以上の長距離車通勤をしている人や、車による遠出が好きな人にとっては、確かにカタログ値で180kmというのは少々心もとない数字ですので、買ってしまうと後悔もするでしょう。
しかし「サクラを使うのは近所での買い物や送迎、あるいは長距離ではない通勤のみ」というような使い方であれば、180kmの一充電走行距離は普通に十分であると言えます。
つまりここに関しては「後悔する人もいるが、ぜんぜんしない人もいる」ということです。
お次の「充電の不便さ」というのは、「外出先で急速充電をするのが大変である」ということです。
カタログ値でも180kmしか走れない日産 サクラですから、満充電から100kmほど走り続けた場合には、どこかで急速充電を行わないと、その後「電欠」を起こしてしまう可能性もあります。
そこで街中の急速充電器を見つけて急速充電を行おうとするわけですが、急速充電にはどうしても30分ほどの時間がかかりますし、やっと見つけた急速充電器が先客で埋まっていた場合には、しばらくの間、機械が空くのを待っていなければなりません。
それゆえネット空間では「サクラは充電が大変だ! 買うと絶対後悔する!」的に言われるわけですが、これも考え方次第というか、人それぞれの使い方次第です。
サクラで100kmや200km、あるいは300kmほどの距離を走ろうと思うなら、確かに充電はちょっと大変です。そういう人は、サクラの購入はやめておいた方がいいでしょう。あるい、不便を承知で買うかです。
しかし、先ほどと同じく「サクラを使うのは近所の買い物や送迎、あるいは長距離ではない通勤のみ」というような使い方であるならば、そもそも外出先で急速充電を行う必要が生じません。
そのため、そういった使い方(乗り方)をするユーザーであれば、特に後悔する機会もないでしょう。
またこれらの他、日産 サクラに関しては「スライドドアではない“ヒンジドア”だから不便」「使い勝手が期待していたより良くない(荷室容量やドリンクホルダーの位置など)」「車内の質感やデザインがよろしくない」という声も、一部であがっています。
これらに関しては、購入前に実車を見に行けばチェックすることが可能なので、良し悪しはぜひご自身で判断してみてください。
サクラはどんな人にオススメできる?
前述した内容を踏まえれば、日産 サクラがオススメとなるユーザー像はもう完全に明らかです。日産 サクラは、下記のようなユーザーに対しては普通にオススメできるEVです。
1. 自宅もしくは生活動線上に充電設備がある
2. 自宅の周辺、あるいは片道40km以内の通勤などでの車使用がメイン
3. 遠出をしたい際に使える「サクラとは別のエンジン車(セカンドカー)」が家にある
上記1~3の条件すべてを満たす人には、日産 サクラはオススメの1台です。
「1」に関しては、やはり自宅に充電設備があることがベストなのは間違いなく、ない場合はぜひ導入を検討してほしいのですが、例えば職場や行きつけのスーパーなど生活動線上で充電することができるなら、ある程度は補完できるかと思われます。
また「3」の条件は満たしていない場合でも、「車での遠出はしない」という人であれば、サクラを買っても決して後悔はしないでしょう。
逆に言うと下記の条件に合致する人は、日産 サクラを買ってしまうと「後悔!」という結果になることも十分考えられます。
1. 自宅もしくは生活動線上に充電設備がない
2. 車で遠出をする機会が多い、あるいは片道50km以上の通勤などに車を使っている
3. 高速道路を利用する機会が多い(※EVの充電残量は高速走行時に減りやすいため)
4. 遠出をしたい際に使える「サクラとは別のエンジン車」が家にない
上記の条件に合致する人は、同じ軽ハイトワゴンでも「ガソリンとエンジンで走るモデル」を選ぶべきです。
ガソリンとエンジンで走る軽ハイトワゴンには様々なオススメ車種がありますが、例えば同じ日産の「デイズ」やホンダの「N-WGN」は、しっかり走れて燃費も良好なナイス選択肢です。
いま中古車を狙うなら? ニーズ別オススメな選び方・ポイント
ここまでを読んで「自分は後悔しないかも」と思った方に向けて、今中古でサクラを狙うならどんなものがオススメか、最後に紹介したいと思います。
日産 サクラの中古車を「とにかく安い予算で買いたい!」と考える場合には、中間グレードである「X」がオススメです。具体的には総額150万円前後で、走行距離数千kmレベルの中古車を見つけることができるでしょう。
上級グレードの「G」と比べると装備や先進安全装備のレベルはやや劣る「X」ですが、基本的な装備と先進安全装備は、ごく普通にひと通り標準装備です。
また「X」はオーディオレス(最初はオーディオもナビも付いていないということ)なのですが、中古車市場で流通しているほとんどのXには純正ディスプレイオーディオやメモリーナビなどが装着されていますので、そのあたりも心配する必要はありません。(※各販売車両の実際の装備については、購入時に販売店に確認してください)
そして「X」でも新車時のパッケージオプションとして「プロパイロット(高速道路の単一車線での運転支援技術)」を装着することができましたが、市場で流通している「X」の多くには、プロパイロットは装着されていません。
そのため「高速道路での渋滞中、ハンズオフ運転をする」みたいなことはできないのですが、サクラは、主には自宅近くで買い物や送迎などのために使うケースが大半であるはず。もしもそうであるならば、「プロパイロットが付いてない」ということも大したデメリットにはなりません。
▼検索条件
日産 サクラ(初代・現行型) × 「X」×全国
各種装備が充実し、「プロパイロット」も標準装備となる上級グレード「G」を探したい場合には、総額170万円前後の価格帯が狙い目となります。この価格帯で、走行距離数千kmから1万km台の「G」が確実に入手できるでしょう。
近場で使用することが多いはずのサクラの場合、必ずしも「プロパイロット」が必要であるとは言えませんが、上級グレードの「G」はEV専用NissanConnectナビが標準装備であったり、夜間走行時に威力を発揮するアダプティブLEDヘッドライトシステムも装備されるなど、「よりいい感じ」であることは確かです。
「X」と比べて少々高くなってしまうケースは多いはずですが、差額分だけの“満足感”は得られることでしょう。
▼検索条件
日産 サクラ(初代・現行型) × 「G」×全国▼検索条件
日産 サクラ(初代・現行型) ×全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
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