BMW 1シリーズ(先代)▲今回の「賢者の選択」は、モータージャーナリストの萩原秀輝氏からの提案。そのチョイスがBMWの1シリーズだ。それも2代目のF20型。その理由とは?

中古車に限らず、お買い得感があり、他車にはない魅力を備えた1台を見つけるのは、なかなか難しい。そこで本企画「賢者の選択」では、自動車のプロが今注目しているモデルを紹介する。

モータージャーナリストとして活動する傍ら、自動車メーカーが主催するセーフティドライビングのインストラクターの講師も務める、萩原秀輝氏に注目している中古車を紹介してもらった。ぜひ、次の愛車選びの参考にしてほしい。
 

絶対の自信を持ってオススメする1台はプライベートで乗るBMW 1シリーズ

2代目にあたる先代のBMW 1シリーズ(F20型)が、自分としてのイチオシである。何といったって自分の愛車は118dファッショニスタ、カミさん号は118iスタイルという2台持ち。カミさん号の走行距離が延びてきたので、ホンキで再びF20型への乗り替えをもくろんでいるほどだ。

もちろん、F20型なら何でもアリというわけではない。フェイスリフトを終えた後期型で、インパネまわりを一新した2017年8月以降のモデルがいい。だって、インテリアの質感がそれ以前のモデルよりも大幅に上乗せ(特にスタイルと後に追加されるファッショニスタ)されているからね。今でも他ブランドの現行型Cセグハッチと真っ向勝負ができる。

しかも走りの質感も高い。ハッキリいって、FFがベースになった現行型の1シリーズ(F40型)に優っている。ステアリングの切れ味なんか超スムーズ。ピカピカに磨き上げられたギアが音もなく噛み合う様子が伝わってくるようだ。この切れ味は、F40型だけではなく、フロントタイヤが駆動輪の役目も果たすFFのCセグハッチでは実現不可能だ。
 

BMW 1シリーズ(先代)▲1シリーズの2代目となるF20型が登場したのは2011年。現行型の3代目はFFのため、最後のFRとなった。中でもマイナーチェンジを行った2017年モデル以降に注目
BMW 1シリーズ(先代)▲2017年以降のモデルの特徴は、よりモダンで上質さが加わったインテリア。ハイグロスブラックを使用したセンターコンソールやクロームメッキ加飾が特徴で、タッチパネルに対応したコントロールディスプレイも採用している

F20型がFRだからというだけではなく、ボディ剛性の高さも現行型のCセグハッチに追い越されていない。荒れた路面でボディに微振動が残るとかザラついた路面でロードノイズが響くとか、そんな反応を気にせずにすむ。

エンジンは、実用性能重視なら118iが積む1.5Lの直列3気筒ターボでも満足度が高い。最高出力は136psと控えめだけれど、吹け上がりが軽快なのだ。それだけに、積極的にアクセルを踏みたくなるし、刺激は物足りなくても気持ちのいい加速が楽しめる。

118dが積む2Lの直列4気筒ディーゼルターボは、最大トルクが320N・mに達するから日常的な場面でも力強さに余裕がある。エンジン回転数にかかわらず、アクセルの踏み具合だけで期待どおりのパワーが立ち上がる。より正確にいえば、期待を絶妙な加減で超える力強さだ。このあたりがBMWのウマいところで、もっとアクセルを踏み込んで走りを楽しみたいという気分を盛り上げてくれる。

という感じで自分的には不満はないが、まぁ、カミさんにいわせると「ディーゼルはエンジン音も吹け上がりも重い感じがするし……」とのこと。ペダル操作やステアリング操作に対する応答性が軽やかな118iが、カミさんは大のお気に入りなのだ。

ただ、118dの燃費には嫉妬しているようだ。日常の足として使っても、累積の燃費で16km/L台の半ばを維持。軽油とハイオクの価格差を考えれば、118dの経済性は118iを圧倒。なので、カミさんに118dを譲り、自分が新たなF20型に乗り替えようとしていることを察しても文句はないようだ。

さてと、狙いは118dのMスポーツ エディションシャドー。さらに、初期限定車のコニャックレザー装備モデル。インテリアがブラックというのは、自分の好みではないもんで……。インテリアにこだわれば、所有後の満足度の持続が長いというのが持論だしね。
 

BMW 1シリーズ(先代)▲2018年に登場したのが、118i/118dファッショニスタ。ボディカラーに専用色が用意された他、ダコタレザーシート(オイスター)などの専用装備、特別装備のコンフォートパッケージが用意されていた
BMW 1シリーズ(先代)▲118dのMスポーツ エディションシャドーは118d Mスポーツをベースに、専用アイテムを装備した限定モデル(118iもラインナップしていた)として2017年に登場。中古車市場にはディーゼル仕様とガソリン仕様を合わせて50台ほどが流通している(2022年7月時点)。中古車市場での車両本体価格は200万円前後となっている
BMW 1シリーズ(先代)▲エディションシャドーは、2018年にあらためてカタログモデルとして登場した。2018年モデルはシート色がブラックとなっているが、萩原秀輝氏は2017年の限定モデルに採用されたコニャックレザー仕様が好み

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文/萩原秀輝、写真/ビー・エム・ダブリュー