スタミナ苑の風評に学ぶ「実体験」の大切さ
カテゴリー: クルマ
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2014/10/09
「噂」というのは結局、あんまりアテにならない
過日、東京都足立区は鹿浜の焼肉店「スタミナ苑」を初めて訪問した。首都圏以外にお住まいの方は聞き覚えのない店名かもしれないが、この界隈では「宇宙最強焼肉」の名をほしいままにしている伝説のお店だ。カーセンサーnetはグルメサイトでもなんでもなく、そもそも味覚というのは個人差がデカい話であるため味の詳細は記さぬが、とにかく噂に違わず美味かった。特にホルモン系は超絶品であった。
それと同時に痛感したのが「人の噂というのはやはりアテにならないものだな」ということだった。
スタミナ苑が「宇宙最強焼肉」と評されているのは、その肉質とホルモンの鮮度および処理に関してであり、接客に関してはあまり芳しくない噂も立っている。「店主が偉そうでムカつく」「追加注文ができない。何様のつもりだ」「バイトがテキトーで使えない」あたりが、巷で出回っている主な批判的意見だ。
噂の真偽はわからぬまま、「まぁそういうこともあるのかもしれないな」という覚悟というか諦念とともに初訪問したスタミナ苑だったが、実際はどうだったか?
まったくフツーの接客だった。
「店主が偉そうでムカつく」という風評はおそらく、自分のビジネスに対して真摯なプライドをもって臨んでいる店主の表層だけを見て「なんかエラソー」と感じたという、単なる浅い意見だ。「追加注文ができない」というのも部分的に事実ではあるが、そこにはきちんとした理由があり、また「何がなんでも一切追加できない」ということもない。「バイトが使えない」というのも、少なくとも筆者が訪問した日に働いていた青年諸君はテキパキと正確な、感じのよい若衆であった。
結局のところ、物事というのはたいてい「尾ひれ」が付いて出回ってしまうのだ。事実のなかの一部が拡大解釈または誤解され、そこに無責任なアレンジが加わり、それがさらに伝言ゲーム的に伝播していくにつれ、事実とは異なるホログラムのようなものが出来上がってしまう。しかも多くの場合、その虚像には部分的な事実も含まれているため、人々は単なる虚像を「実像」であると思い込むのだ。
輸入中古車業界についてもほぼ同様のことがいえる。「買ってもすぐ壊れる」「アフターサービスがぞんざい」「チンピラまがいの店主や店員が多い」「特にイタリア・フランスの中古車はソッコーで壊れる」という巷の噂に対して、輸入中古車取材歴20年の筆者は「や、そんなことは100%無いですよ!」とは言わない。今やそんな中古車店や中古車はかなりの少数派であることは間違いないが、ごく一部にはいまだ存在することを否定はできないのだ。
しかし、それは「部分的な事実」であって、昨今の輸入中古車業界の正確な全体像とは大きく異なる。「絶対」とは言わないし、「全て」とも言わないが、オートオークションの普及などにより品質が標準化した昨今の輸入中古車は、及第点レベル以上の販売店で購入する限り、そうひどいことにはならないものだ。場合によっては「そうひどいことにはならない」どころか「大満足!」となることも多い。それが、最近の中古ガイシャなのだ。
これらのことは筆者がアツく語らずとも、実際に最近の輸入中古車を購入したことがある人であれば「ま、そうだよね」とクールにうなずくことだろう。足立区のスタミナ苑に“実際に”行ったことがある人であれば「ま、何かとクセがある店ではあるけど、ある意味普通だよね」と淡々と思うように。
ということで今回のわたくしからのオススメは、「噂はともかく、実は意外と大丈夫なことが多い輸入車」だ。