スズキ ジムニー

日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMCであるBoseが、カーセンサーで気になる中古車を探して実際に見に行く本企画。

今回は定期的に「乗りたい欲」が訪れるというジムニーの専門店を訪問しました!

前半は30年以上前の2ストモデルSJ30型について、後半は最近のジムニー事情について話を伺いました。

Bose

スチャダラパー

Bose

1990年にデビューし、1994年「今夜はブギー・バック」が話題となる。以来ヒップホップ最前線で、フレッシュな名曲を日夜作りつづけている。スチャダラパーが満を持してYouTubeチャンネルを開設! 詳しくは公式HPへ。愛車はフォルクスワーゲン ゴルフIIとフィアット ウーノターボ
 

現行モデルとは違った魅力がSJ30型には詰まっていたよ!

Bose ジムニーは不思議な車で、無性に欲しくなる波が定期的にやってくるんだ。キャンプに行く機会も増えて、僕の中で再燃しているんだよね。大ヒット中の現行JB64型も良いけど、せっかくならとことん古いやつを見てみたいと思って、約35年前のSJ30型が置いてあるお店に来ちゃった!

スズキ ジムニー
スズキ ジムニー

アツギサービス 堤さん これを見に来るなんて、なかなかのつわものですね(笑)。

Bose このチープでかわいいデザイン、好きなんです。僕が住んでいる鎌倉や葉山は道が細いせいか、古いジムニーの色を塗り替えてオシャレに乗っている人が多いんですが、その光景を見慣れているから抵抗がなくて。ジムニーは日本の道にちょうどいいサイズですよね。

 うちのお客さまでもその辺りに住んでいる方が何人もいらっしゃいます。面白いのは、店の近くに厚木基地があるので、アメリカの方がけっこう買ってくださるんですよ。

Bose へぇ~!

 2ストのジムニーといえば、山の中でハードに走る人から今でも絶大な支持を集めていて、中には70代、80代のご夫婦で楽しまれている方もいます。最近では免許取り立ての若い女性からの問い合わせも少なくないんです。

Bose え!? どういうことですか?

 いま、“ジムニー女子”がブームでしょう。多くは現行モデルのJB64型に乗っていますが、その中で2ストのSJ30型に乗っているとジムニー女子の中でも格が上がるみたいです(笑)。

Bose そりゃそうだ。レベル高すぎ(笑)。

スズキ ジムニー▲SJ30型と比べてみると、現行型は歴代ジムニーと通じるデザインに仕上がっていることがよくわかります

 現行型はジムニーのあるライフスタイルを楽しんでいる方も多いので、ディーラーに話を聞くと新車の7割はATになるそうです。そんな中で、「私はMTに乗っている!」というのが自慢になるみたいで。

Bose “映え”のランクが上がるわけだ(笑)。僕も古いイタリア車に乗っているからわかるけど、見た目だけで選ぶと大変そうですね。

 SJ30型は板バネということもあり、正直に言って乗りやすくはないです。

Bose 僕も何度か助手席に座ったことがあるけど、ガタガタ感がすごかった。でも、そのガタガタする感じが逆にかわいいんだよね。

スズキ ジムニー▲キズやへこみも、逆に味になる!
スズキ ジムニー▲30年以上前のモデルだから内装はかなりシンプル

 あとはエンジンが2ストなので、特に高速道路で長距離を走るときはオーバーヒートには気をつける必要があります。SJ30型やJA11型に乗っている人の中にはJA22型の電動ファンを移植する人もいますね。

スズキ ジムニー▲2ストエンジンはこんな感じ!

Bose 大変なことも多いだろうけれど、圧倒的に軽くて2ストのSJ30型なら山の中を軽快に走れそう。現代のジムニーとは全く違う感じで楽しめそうだね!

スズキ ジムニー

Bose ただ、乗るなら完全に遊び用って割り切らないと大変だろうな。何せ2ストで音がすごいから、駐車場から出るだけでもご近所から怒られちゃうよ(笑)。

 この車はまだ静かな方です。奥にも別のSJ30型がありますが、そっちはもっとすごい音がします。これはチャンバーの差ですね。

Bose チャンバー! すごく懐かしい言葉だな。ノリが完全にバイクなんだ。

スズキ ジムニー▲チャンバーが装着されているのも2ストならでは。ここからの音がとにかくすごい!
スズキ ジムニー▲「ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!」

編集部 もしBoseさんがSJ30型を買ったら、どんな遊びをしたいですか?

Bose やっぱり山にキャンプに行きたいよね。それも普通の車じゃ行けないような、細い林道を通ってソロキャンプに出かけたい。荷室もそこそこ広いから、ソロキャンプの荷物なら余裕で積めそうだし。

スズキ ジムニー▲2人乗りで、後ろはすべて荷室スペース

Bose 渓流釣りが趣味の友達も「ジムニー最強!」と話してたっけ。小さくて悪路走破性が高いから、どんなクロカンよりもポイントギリギリまで行けるんだって。一度ハマると抜け出せない理由が改めてわかったよ!

ジムニーの狙い目は、新車と旧車の間にあるJB23後期型!?

Bose ちなみに堤さんは、いつからジムニーを扱っているんですか?

 ジムニー専門でやっているのは5年くらいですね。僕がやり始めた頃といまを比べての大きな変化は、どの世代も今の方がかなり高くなっていること。スタートした頃は先代のJB23型が一番高かったのですが、いまはJB23型の前期が一番安くて、90年代のJA11型やJA12型、JA22型がかなり値上がっています。

スズキ ジムニー▲お邪魔した「アツギサービス ジムニー専門店」は、道沿いにずらっとジムニーが! 現行のJB64型から2ストモデルまで、様々な世代のジムニーを扱っています

Bose 僕がかわいいなと思って見ているのはJA11や22型ですね。

 JA11型はバンなのでリアシートはかなり狭いですね。JA22型はワゴンになったので後ろにも乗りやすくなりました。コイルスプリングになったので、オンロードの快適性も高まっています。

Bose こちらのお店にはJB23型が多いですね。

 現行型はまだ新車の納車待ちが続いているので、中古市場もプレミア相場になっています。それもあってJB23型はいま一番買いやすいジムニーなんですよ。乗り心地もいいのでエントリーモデルとしてオススメしています。SJ30型は積極的に扱っているわけではないのですが、ジムニー屋の意地で並べているところもあります(笑)。

スズキ ジムニー▲こちらも意地のSJ30型! 現状、全部で3台あります

Bose JB23型も長い歴史の中でいろいろ手が加えられていましたよね?

 デビューが1998年の10月で、2018年7月のフルモデルチェンジまでの間に1型から10型まで作られました。

Bose それぞれ雰囲気が変わっていますよね。JB23型だと、どのあたりがオススメですか?

 2004年10月に登場した5型以降の後期型ですね。ちょうどそのタイミングで大きな改良があったので。

スズキ ジムニー▲アツギサービス代表の堤さんと店内を物色するBoseさん

Bose アウトドアブームとともにジムニー需要も高まっているものですか?

 そうですね。芸人のヒロシさんがソロキャンプのYouTubeをやっていますよね。あれがスタートしてから明らかにジムニーがブームになっていると感じます。

Bose やっぱり。

 彼が乗っているのはJA11型の幌モデルですが、「同じものが欲しい!」という問い合わせがけっこうあります。

Bose 別の芸人さんも以前古いジムニーでキャンプをやっていたけれど、キャンプ場に向かう高速道路で大きな音を立てながら走るジムニーがかわいそうになって乗り替えたと言ってたな(笑)。

 ジムニーは災害に強いイメージもあるので、大雪や台風などの後は相場がぐっと上がります。本当は5型や6型あたりを50万円前後で買えたら一番いいのですが、なかなか難しくなってきました。

Bose ものは考えようだけれど、多少お金はかかっても状態のいいJB23型を手に入れたら、数年遊んで手放してもそんなに値落ちしないですみそう。

 それはありますね。とくにランドベンチャーやワイルドウインドなどは人気があるので、値落ちしにくいと思います。

Bose ジムニーもSJ30型まで古くなると、僕が持っているフィアット ウーノなんかと意味合いが同じになってきちゃう。かと言って、新車は納車までに時間がかかる。それなら間を取って、JB23型で遊ぶというのは悪くなさそうだな。

スズキ ジムニー▲「JB23型、ありだな……」

 ジムニーは1年の中で売れ行きに大きな波があります。雪が降った後なんかは一気に売れますが、逆に気候がいい春などはあまり動かないんですよ。その意味では、これからの季節はじっくり探したい人にはいい時期だと思います。

Bose 季節で売れ行きが変わるからこそ、あまり動かない時期に探す。逆張りの発想だね。JB23型に注目している人はいまがチャンスだよ!

文/高橋満(BRIDGE MAN)、写真/早川佳郎