”ミスターSUPER GT”の称号をもつ脇阪寿一さん「リアルもバーチャルも勝てないと悔しい(笑)」
カテゴリー: クルマ
タグ: スペシャリストのTea Time / 河西啓介
2021/06/24
車で我々に夢を提供してくれている様々なスペシャリストたち。連載「スペシャリストのTea Time」は、そんなスペシャリストたちの休憩中に、一緒にお茶をしながらお話を伺うゆるふわ企画。
今回は、全日本GT選手権でシリーズチャンピオンに輝いたこともある、レーシングドライバーの脇阪寿一さんとの“Tea Time”。
語り
脇阪寿一
わきさか・じゅいち/全日本GT選手権(現SUPER GT)に参戦し、02年には「エッソウルトラフロースープラ」にてシリーズチャンピオンを獲得するなど、輝かしい戦績を残し「ミスターSUPER GT」の称号で親しまれている。現在は、トヨタGAZOO Racing のアンバサダーを務めたり、自身のオンラインサロンを開設するなど、車やモータースポーツの楽しさを精力的に発信している。
ゲームでも負けると腹が立ってきます(笑)
このページ、「ゆるい雑談を」ってことですけど、ふだんの僕、無口なんですよ。つまんない男なんだけど、大丈夫ですか(笑)。
やっぱり昨年からのコロナ禍で、オフの時間は増えましたね。そういう時間を過ごす中であらためて考えて、始めたことはいろいろあります。
ひとつは「eスポーツ」。僕自身は子供の頃ゲームウオッチを少しやったぐらいで、ゲームに関しては素人なんだけど、コロナ禍の状況で“モータースポーツ観戦ロス”なんて言葉も聞こえてきたし、だったらeモータースポーツのオンラインイベントをつくることで喜んでもらえないかな? と思って始めたんです。
「i Racing」というオンラインレーシングシミュレーターを使って、機材をひと通り揃えて。最初は全く走れなかったですけど、やっているうちに“負けず嫌い”が出てきて、だんだん腹立ってきた(笑)。
レーシングドライバーとしては引退したんですけど、ゲームなら体力的な衰えは補えるだろうし、「もう一度、いけるんじゃね?」と。
ゲームの世界では初心者の脇阪寿一が「世界を目指す」というプロジェクトをスタートさせて、いろんなeスポーツ仲間と知り合って、本気でハマりだしているんです。
バーチャルとリアルの境目がどんどんなくなっている
ゲームでもセッティングはレーシングカーを作るのと全く一緒。
フレーム剛性は大事だし、ボルト2、3本緩めただけで車の動きがまるっきり変わってしまう。リアルでできないことをバーチャルで試せるから、これからはリアルな車の開発やテストも、まずバーチャルでやってみて……ということが増えるでしょうね。
それと「iRacing」は実名での登録が基本なので、ルーベンス・バリチェロともマックス・フェルスタッペンとも戦える。そういうのも面白いですね。
もちろん、そのためには下のクラスから上がって行かなきゃならないんだけど、“速さ”だけではだめで“安全性”の評価も得なければならない。だからこそ、上のクラスに行けば行くほどリアルのレースのようなシビアな戦いができるんです。
まあそうするうちに「オレじゃ世界レベルは無理か……」なんてこともわかってくるんですけどね(笑)。
まあ「脇阪寿一」をこの世界の一つの“物差し”として使ってもらって、eモータースポーツを盛り上げるのに少しでも貢献できれば、というところです。
ヨーロッパにはeモータースポーツのプロチームがありますし、バーチャルだけのレーシングドライバーも出てきていますよね。
“安全運転”を啓蒙するのも我々の大事な使命
あまり理解されていないんですけど、レーシングドライバーの仕事って、実は車をぶっ飛ばすことじゃなくて、「車を安全に目的地(ゴール)まで届ける」ってことなんです。
しかも、ライバルたちが我先にと急いでいる中で、いかにぶつからずに抜いていくかってことをやっている。
例えば、この考え方と技術を一般ドライバーの方たちに伝えることができたら、交通事故を減らせるんじゃないかと。事故を起こす人、遭ってしまう人、たくさんの人の運命を変えることができるかもしれない。これって立派な社会貢献だと思うんです。
そんなふうに、世の中の車やモータースポーツの在り方を変えるきっかけをつくりたくて、1年ほど前から「脇阪寿一とクルマで未来を創るプロジェクト」というオンラインサロンも始めました。
そこに集まった人たちに、脇阪寿一という人間を使い倒してもらって、それぞれがやりたいことを実現しようというものです。
あれ、結局マジメなことを話してしまったな……。僕、ホントに面白くない男なんですよ(笑)。
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