【人生初の車が輸入車で何が悪い?】例えば22歳のための「いきなり空冷ビートル」購入ガイド
カテゴリー: 特選車
タグ: フォルクスワーゲン / ビートル / タイプI / EDGEが効いている / 人生初の車が輸入車で何が悪い! / 伊達軍曹
2019/06/01
▲「最初の車は何かと無難な中古の国産コガタシャにしとけ」という意見に一理ないわけではない。だがそれは必ずしも「絶対」ではなく、例えばいきなりクラシカルな輸入車に乗ったって、構わないといえば構わないのだザ・ビートルズの完コピ衣装を着た謎の青年
見たところ22歳ぐらいの青年が、国産中古車専門店前の歩道で自撮りをしていた。
今どき「スマホで自撮りをしている若者」などめずらしくもなんともない。だが彼の場合は着衣が異様だった。
1967年頃のザ・ビートルズのステージ衣装を完コピした衣服を着て、スマホを高く掲げているのだ。なぜか中古車屋さんの前で。
「これは見ない方がいいアレだ……」と思ったが、ザ・ビートルズの大ファンである筆者は、思わず好奇心から声をかけてしまった。「いったい何をしているのですか?」と。
するといきなりツイスト&シャウトというか、身体をよじりながら大きく嗚咽を漏らした彼は、涙ながらにいきさつを説明しはじめた。
話はこうであった。
▲中古車販売店の前でなぜかザ・ビートルズの格好をしていた青年のイメージ……というか、写真は本物のザ・ビートルズ。1967年「マジカル・ミステリー・ツアー」撮影時の一枚(photo by Parlophone Music Sweden)見立てのとおり、彼は22歳の新社会人。学生時代のアルバイトで貯めたお金と、今後見込める月給を元手に「人生初の車」を買おうと思っていたのだが、会社の先輩や上司などから猛反対をくらってしまった。
ついうっかり「最初の車はフォルクスワーゲンのビートルにしようと思ってます。子供の頃からあれが大好きだったので」と、飲み会の席で漏らしてしまったからだ。
「今のやつじゃなくて70年代とかのアレか? ……キミはバカか? バカの人なのか?」
「維持しきれないですぐに手放すオマエの未来が見えるよ! がははは!」
「修理代を前借りしたいとか言っても、我が社にそういうシステムはないからなwww」
等々のことを散々言われ、涙した。
だが翌日になって酔いが覚めると「先輩や上司が言っていたことが正しいのかもしれない」と思い直し、人生初の車は無難な国産コンパクトの中古にすることを決意。そして本日、この販売店にやってきたのだそうだ。
「……しかし、ビートルへの思いを完全には捨てきれない部分があり、思わずビートルならぬザ・ビートルズの完コピ衣装を原宿で買い求め、本日ここで記念撮影をしていた……という次第です」
以上の弁明を聞き終えたわたしは、彼に告げた。
「フォルクスワーゲンのビートルはBEETLEであり、ザ・ビートルズの方はBEATLEなのだが、まあそれはいい。とにかく買えばいいではないか、ビートルことフォルクスワーゲンのタイプ1」
「は?」
「ユー買っちゃいなよ、ということをわたしは言っている。そもそも、人生初の車がビートルで何が悪いのだ? 悪いことなどひとつもない。さだまさしの関白宣言みたいに『ま、ちょっと覚悟はしておけ』という部分は確かにあるが」
「……たとえが昭和すぎてわかりませんが、とにかく、僕がビートルを買っても問題ないという理由を教えてください!」
以下はこの後、わたしが彼にこんこんと話した内容のダイジェスト版である。
▲こちらが、青年が当初買おうと思っていた「ビートル」ことフォルクスワーゲン タイプ1。2003年まで製造された長寿モデルで、日本でも1970年代頃は「輸入車といえばビートル」という時代があった「国民車構想」から生まれた伝説の大衆実用車
まずはビートルことフォルクスワーゲン タイプ1という車についてごく簡単に。
フォルクスワーゲン タイプ1は……と書くのも面倒なので愛称で「ビートルは」と書いてしまうが、ビートルは、もともとは第二次世界大戦前のドイツにあった「国民車構想」に基づいて生まれた車だ。ちなみにチーフエンジニアはフェルディナント・ポルシェ博士である。
1935年にプロトタイプが完成し、1938年には生産工場も建ったのだが、戦争のもろもろで計画は中断。ビートルが正式に日の目を見たのは第二次世界大戦が終わった1945年だった。
安価でありながら堅牢で、なおかつ動力性能も(当時としては)破格に高いということでビートルは大ヒット作に。1946年には早くも1万台を生産し、日本でも1952年から輸入を開始。そして結果としてメキシコ工場では2003年まで生産が続けられた(※ドイツの工場では1978年まで)。
車体後部に搭載されるエンジンは空冷の水平対向4気筒で、当初の排気量は1L。それが1.1L、1.2Lと順次拡大され、最終的には1.6Lに。
1968年には衝突安全基準に適合させるためバンパーが大型化され、1970年には前輪サスペンションをストラット式に改めた1302型がデビュー。現代的なハンドリングもばっちり獲得するに至った。
▲四輪自動車としては世界最多となる累計生産台数「2152万9464台」という記録を打ち立てたフォルクスワーゲン タイプ1。生産が終わって久しい今もなお、世界中の愛好家に普段づかいされているメキシコ工場では2003年まで生産されたとはいえ、それでも生産終了から早16年。だがビートル愛好家は依然として日本を含む世界中に多数存在しているため、サードパーティ製を含む部品供給には何ら問題はなく、中古車相場も比較的手頃だ。
もちろん希少なクラシックモデルはけっこう高いわけだが、一般的な1970年代の個体やメキシコ生産車であれば総額90万円付近から探すこともできる。
「……とはいえ昨今のネオクラシックブームで相場は上昇しているのだが、それでも手が出ないほどではない。そして構造もシンプルゆえ、ややこしい壊れ方はしないだろう」
「なるほど」
「ということで、貴君のようなお若い人が買うには最適……とまでは言わないが、悪くない選択だと我輩なんかは思うのだがね」
「ならばなぜ、会社の人たちはあのように悪しざまに言うのでしょうか?」
「たぶんだが『問題点を整理できてない』ということなのだろう」
「……どういうことですか?」
「今説明する。少し待て」
他人の考え方はどうでもいい。「キミ」はどう考えるのだ?
説明しよう。まず「2019年の社会環境下でビートルを所有する」という事実に対して、問題が有るか無いかといえば、まあ「有る」だろう。具体的には以下のとおりである。
1. たぶん、たまには壊れる
信頼できる専門店でビシッと納車前整備をしたとしても、なにせ古い車なので、たまには「ホースとかコードが外れました」的なプチ故障が起こる可能性は、もしも新車のトヨタ カローラ スポーツと比べるならば確実に高い。
2. 運転はちょっとだけ難しい
パワーステアリングやブレーキの倍力装置などが付いている現代の車しか運転したことがない人は最初、ビートルの運転に若干とまどうはず。そういった便利な(現代の車では当たり前の)シロモノはほとんど付いていないからだ。
▲決して鬼のように重いわけではないが、空冷ビートルのステアリングはノンパワーのいわゆる重ステで、ブレーキの倍力装置も付いていない。そのため、最初のうちは「ちょっと運転しづらい……」と思うかも。ちなみにこちらはモデル半ばの樹脂を多用した内装だが、年式によってデザインは大きく変わる3. 当然ながら先進安全装備はゼロ
言うまでもないが「自動ブレーキ」みたいなものは付いておらず、受動安全性も、現代の水準で見るならばプアだ。もらい事故をもらわないよう、そして自爆しないよう、心してかからねばならない。
4. その他は……特になし
細かいことをあげつらえばキリがないが、その他に致命的な問題はないのだ。国産新車を「点検パック付き」で買う場合と比べればカネも手間もかかることぐらいだろうか。
……というのが「客観的な問題点」だ。会社の先輩らは、これらを「問題だ、大問題だよ!」ととらえたのだろう。それはそれでひとつの見解、見識である。
しかし貴君という個人の「主観」はどうなんだ? 果たしてこれらは「問題」なのか? それとも「ま、どうってことない」なのか?
「なんというか……その中間です。つまり、予想される手間やカネや苦労がぜんぜん気にならないと言えばウソになりますが、『ビートルに乗るためならガマンできる』という感じで」
なるほど。そしてすぐに慣れるはずではあるが、最初のうちは運転自体もちょっとだけ大変だぞ? そのあたりの覚悟は?
「大丈夫です。まずは空いてる安全な場所限定で、そろりそろりと練習を重ねます」
なるほど。ならば、わたしから貴君に言うことは「ユー、買っちゃいなよ」以外にはもはや何もない。
ここから先は、わたしなどより1億倍は詳しい先達、つまりは全国各地にいる「空冷フォルクスワーゲン専門店のスタッフ各位」に、予算や年式等を含むぶっちゃけた相談をしたまえ。そうすれば、きっと悪いようにはされないはずだ。
「大丈夫ですかね?」
変な店にさえ当たらなければ大丈夫だ。心配ない。
「わかりました、ダンケ シェーン! そしてアウフ ウィダゼン!」
そう言って彼は去っていった。後でググったところによれば、アウフ ウィダゼンとは「さようなら」という意味のドイツ語だった。
▲写真は1950年代の「オーバル」と呼ばれる楕円形のリアウインドウを備えた世代。この世代の中古車相場は希少価値ゆえ高額で、ビギナー向けとは言い難い。もっと後の年式を手頃な総額で探したいところだその後、彼がビートルことフォルクスワーゲン タイプ1を買ったかどうかは知らない。
だがとにかく空冷フォルクスワーゲンとは、世界的に見ても「愛好家」「専門家」の数が非常に多い車だ。それゆえ、その維持に関する知見と部品は地上に充満しまくっている。
「きっと大丈夫だ。気合と、多少のカネさえあれば」
それをドイツ語で何と言うのかわからないが、とにかくわたしは、日本語でそう思ったのだ。
▼検索条件
フォルクスワーゲン タイプI&ビートル×全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
【関連リンク】
この記事で紹介している物件
フォルクスワーゲン
ビートル 1600 2003年生産最終型 空冷FLAT4 専用チェックシートカバー ヴィンテージラジオ ETC フジクラ製クーラー134aガス クロームモール オーバーライダー付クロームバンパー クワイエットマフラー
本体価格220.0万円
支払総額230万円
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