プリウス▲「一目惚れするデザイン」「虜にさせる走り」を目指して開発された5代目プリウス。デビューから1年以上経ち、中古車台数が増加。平均価格も下がり狙いやすくなっている

現行型プリウスの中古車平均価格が下落!

「21世紀に間に合ったプリウス」だったが、あれから20年以上経ち、世の中は随分と変わった。プリウスがハイブリッドカーの代名詞のように使われていた頃とは違い、今やハイブリッドカーが当たり前のように街を走っている。

しかも、現行型となる5代目が登場した2023年1月は、新型コロナウイルスの猛威がまだ収まっていなかった。その影響に加え、人気モデルの新型ということで新車注文が殺到したのだろう。先行予約の時点でも納車は半年~1年待ちという状況が続いた。

そのため、台数は少ないながらも中古車市場に流通する5代目プリウスには一時プレミア価格が付いたことも。

あれから1年半以上が経った現在の新車の状況はというと、原稿執筆時点(2024年9月18日)で公式ホームページには「6ヵ月程度」、PHEVモデルは「4~5ヵ月程度」とあり、納車待ちは徐々に解消している模様。

さらに、2023年4月~2024年3月(1年間)の新車販売台数ランキングでは4位となるほど売れている。

それを受けてか、下記グラフのとおり中古車流通台数は一気に増え、2024年3月には1000台を突破。以降も台数増加のトレンドは変わらない。
 

プリウス(5代目)の中古車流通台数推移グラフ

そして、流通台数増加に伴い、中古車平均価格も落ちている。

具体的には、昨年8月には427.7万円だったものが、今年6月には400万円を割る398.6万円に。さらに下落は続き、8月には389.3万円と前年同月比で実に40万円近くも安くなっているのだ。

プリウス(5代目)の中古車平均価格推移グラフ

ようやく安くなってきた5代目プリウス。今狙うならどんな中古車がオススメなのか。モデル概要を振り返りながら検討していこう。
 

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モデル概要:低く構えたスポーツカーのようなフォルムが最大の特徴

プリウス▲3代目から59mmもダウンした運転席の着座位置は、5代目でさらに30mm下げられた。だからスポーツカーのような低い視線で操ることになる

2023年1月に発売が開始されたプリウス。歴代同様、状況に応じてエンジンとモーターを切り替える独自のハイブリッドシステムは、第5世代へと進化した。エンジンは1.8Lと2Lエンジンの2種類から選べるようになった。

さらに、従来は独立していたPHEV(プラグインハイブリッド)モデルも同じデザインとなり、2023年3月に加えられている。

注目のWLTCモード燃費は、1.8Lエンジン搭載の2WDが32.6km/L、2Lエンジン搭載の2WDが28.6km/L。どちらも1.8Lエンジン搭載を搭載していた4代目の2WDの27.2km/Lを上回る。
 

プリウス▲ボディカラーは写真のマスタードやアッシュ(グレー色)といった新色に加え、全8色が用意されている
プリウス▲プリウスPHV。モーターのみでの最大航続距離は19インチタイヤ装着車で87km、17インチで105km。燃費は26.0~30.1km/L(いずれもWLTCモード)

そんな低燃費は当たり前!? それ以上に多くの目をひくのは、やはり攻めきったエクステリアデザインだろう。

フロントノーズからルーフ、リアまでなだらかな曲線を描くモノフォルムシルエットで“プリウスらしさ” は継承しているものの、全高は4代目より40mm下げられ、かつ高さのピークが前席から後席側へとズレている。

また、同社のBEV(電気自動車)bZ4Xに続いて、ハンマーヘッドをモチーフとしたヘッドランプや、滑らかで抑揚のあるボディ形状など、“新型”であることを強烈に印象づける。

インテリアはというと、横長なオーバル(楕円)型をしたダッシュボードに、2つのディスプレイが載るようなデザイン。初代から続いていたセンターメーターは廃止されている。
 

プリウス▲センターディスプレイはグレード「Z」が12.3インチ(写真)、「G」と「U」は8インチ。いずれもスマートフォンとの連携が簡単なディスプレイオーディオだ
プリウス▲内装色は写真の赤のアクセントが入る「MATURE RED」の他に、上質感のある「GRADIENT BLACK」と、モダンな「ACTIVE GRAY」の3タイプがある
プリウス▲乗員まわりは4代目より広くなったが、ラゲージ容量は4代目の502Lから狭くなった。具体的には1.8Lハイブリッドが422L、2Lハイブリッドが410L、プラグインハイブリッドが342L(いずれも後席使用時)

走行性能の向上も5代目の注目ポイントだ。プラットフォーム(車の骨格)は、4代目のTNGAの進化形(第2世代TNGA)が採用されたことで、ドライバーの意図に即した車の応答性が向上。当然、乗り心地や静粛性も高められている。

さらに「胸のすくような加速感」も追求されたこともあり、エンジン+モーターのシステム最高出力は4代目の90kW(122ps)を上回っている。ちなみに1.8Lエンジン搭載車は103kW(140ps)、2Lは144kW(196ps)、プラグインハイブリッドは164kW(223ps)だ。

その他、屋外で家電が使えるAC100V・1500Wコンセントや先進運転支援機能「トヨタセーフティセンス」は全車標準装備。また、あおり運転被害を受けた際に状況を自動録画したり、警察などへ通報できる「周辺車両接近時サポート(録画機能・通報提案機能)」が用意されている。
 

プリウス▲後輪をモーターで駆動させる4WDは、4代目に比べてモーターの出力が向上。雪道だけでなく、通常のコーナリング時もしっかり曲がれるよう積極的に寄与するようになった

1.8Lハイブリッドシステムを搭載するグレードは、同社のサブスク「KINTO」専用として用意される「U」と、法人向け車両の「X」がある。つまり、一般の消費者が新車を購入する場合、2Lハイブリッドシステム搭載車(「G」か「Z」)を選ぶことになる。

このように、燃費も走りもデザインも、全方位で進化した5代目プリウス。買うならどんな中古車がいいか、下記で検討してみよう。
 

 

【オススメ中古車1】とにかく安く買いたいなら「1.8 X」を狙おう

原稿執筆時点で現行型プリウスの掲載台数は約880台。平均価格は約400万円で、価格帯は約270万~790万円。平均走行距離は0.9万kmなので、コンディションの良い中古車がたくさんあると推測できる。

そんな中から、とにかく安く現行型プリウスを手に入れたいなら、「1.8 X」がオススメだ。

1.8 Xは、主に法人向けに用意されたグレード。そのため、ハイブリッドシステムに組み合わされるエンジンは1.8Lで、オーディオレスが標準となり、スチールホイールを履く。またボディカラーはホワイト(スーパーホワイトII)とシルバー(シルバーメタリック)の2色のみとなる。

とはいえ、2Lハイブリッド車同様にトヨタセーフティセンスは標準装備だし、AC100V/1500Wコンセントもセンターコンソール後部とラゲージルームの2ヵ所に備わる。また、ラゲージ容量は2Lハイブリッド車の410Lより広い422Lだ。

それに、オーディオレスが標準ながら原稿執筆時点で中古車を見てみると、販売店オプションのカーナビを備えている物件も多い。

2Lハイブリッド車と比べたら多少非力とはいえ、システム最高出力や燃費性能は4代目(旧型)より上回っているし、上記のとおり遠出の際にもうれしい機能がしっかり備わっている。

原稿執筆時点で走行距離2万km未満の物件が、「総額」で約285万円から見つけることができる。新車の車両本体価格が275万円ということを考えると、お買い得感があまりないように見えるが、前述のとおりオプションのナビを装着している物件も多い。また、諸経費などが含まれていることを考えれば、十分お得な物件も見つかりやすいだろう。

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【オススメ中古車2】お買い得感が高いのは「2.0 Z」

装備の充実した現行型プリウスをなるべくお買い得価格で狙いたいなら、走行距離1万km前後の上級グレード「2.0 Z」を探してみよう。

同じ2Lエンジンを用いたハイブリッドシステム搭載車には「2.0 G」もあり、新車の車両本体価格は2.0 G が320万円、2.0 Zが370万円と50万円の差がある。

ここから分かるように、2.0 Zの方が装備は充実しているのだが、原稿執筆時点で走行距離1万km以上2万km未満のメーカー系販売店の支払総額を比較してみると、2.0 Gが330万円、2.0 Zが350万円と、その差が約20万円まで縮まっている。

もちろん、傷や汚れの程度などコンディションにもよるが、それでも新車で買えば50万円高い2.0 Zがこの価格で狙えるならば検討の余地は十分あるはずだ。

上級グレードである「2.0 Z」は、テールゲートが電動となり、自車を俯瞰して見られるパノラミックビューモニターが備わる。また、ワイパーが雨滴感知式で、ディスプレイオーディオのモニターが8インチ(2.0 G)より大きな12.3インチになるなど、装備が充実しているので、購入後の満足感も高いだろう。
 

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文/ぴえいる、写真/阿部昌也、トヨタ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。先日、中古車のホンダeも加わった。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。