ホンダ フィットハイブリッド

予算50万円でも“使える”コンパクトカーが買える!

普段の生活のため、そしてたまにはレジャーで遠出をしたいので車が欲しい。けれどもあまりお金をかけたくはない……。

そんな人にピッタリなのが、5ナンバーサイズの「コンパクトカー」である。もちろん最新のモデルであれば、ある程度の予算は必要になる。

ならば、コンパクトカーの中でも登場から10年程度経過した中古車はどうだろうか。これくらいの年式のモデルは、環境を意識した技術を搭載したり、自動運転技術や通信機器を搭載して様々な機器などを接続できるコネクテッド技術の開発に注力した世代真っただ中。

それでいて、デビューから時間も経っているため、かなりお手頃な価格――具体的には予算50万円くらい――で十分に狙うことができるものも! ちなみに、2024年11月の中古車平均価格が219.3万円(リクルート自動車総研調べ)ということを考えれば、それがいかに安いかおわかりいただけるはず。

今回はその中から、「走行距離10万km以内で修復歴ナシ、自動車税がアップする前の2011年以降の物件が選べる」といった条件で、総額50万円以下で狙える5モデルをピックアップしてみたので、ご紹介しよう。
 

 

ホンダ フィット(2代目)ハイブリッド

生産期間:2010年10月~2013年9月
中古車平均価格:37.4万円

 

ホンダ フィットハイブリッド▲10・15モード燃費30.0km/Lを達成した2代目フィットのハイブリッドモデル

2001年の登場以来人気を博し、現在は2020年にモデルチェンジを施した4代目が登場しているホンダ フィット。2代目は2007年から2013年に生産されたモデルであり、2010年の改良を機に、2代目フィットをベースにしたマイルドハイブリッドモデルが新しく追加された。

2011年には10周年アニバーサリーモデルが登場し、2012年にはスポーティーなハイブリッドRSモデルも追加されるなど、当時の人気具合がうかがえる。

特徴は、ホンダのハイブリッドシステムであるIMAシステム(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を採用し、アイドリングストップやエコアシストが標準装備されていることだろう。燃費は、当時の10・15モードで30km/Lという低燃費を誇っているため、維持費も十分抑えられる。

インテリアは質感が高く、シートまわりは収納スペースが多かったり、ラゲージも荷物をたくさん積むことが可能。またセンタータンクレイアウトによって後席がフルフラットにできるので広い空間を実現しているのも特徴だ。

運転時の視界も大きめの三角窓やドアミラーの取り付け位置まで気を配り、左右の見切りをよくしているため、運転に苦手意識を持っている人にも安心して走れるよう設計されている。

ホンダ フィットハイブリッド▲ハイブリッドモデルでも、通常のフィットと同じく使い勝手の良さが際立つ

総額50万円以内でも、走行距離2万km台の物件や、クルーズコントロールやシートヒーター、バックカメラ装着車、専用のインテリアデザインや本革を採用したステアリングなどを施す「10周年アニバーサリーモデル」も十分選べる。

この価格帯で選べるモデルとして満足を得られること間違いなしだろう。
 

▼検索条件

ホンダ フィット(2代目)ハイブリッド×総額50万円以下×2011年式以降×走行距離10万km以内×修復歴なし×全国
 

スズキ スイフト(3代目)

生産期間:2010年9月~2016年11月
中古車平均価格:59.8万円

 

スズキ スイフト▲オセアニアやアジア市場で成功したスズキの世界戦略車、スイフトの3代目

スズキの世界戦略車であるスイフトは、2010年のフルモデルチェンジで3代目となって進化した。2代目と見た目ではあまり変化がないが、プラットフォームやシャシー、ボディが刷新されている。

全長は95mm拡大され、ホイールベースも40mm伸び、ひと回り大きなデザインとなっており、先代に比べさらなる安定感のある走りを実現した。また軽量化を図ったことで、2WDでは車両重量が1tを切る。

トランスミッションはCVTと5MTが用意され、5MTは2WDのみ、CVTは2WDと4WDから選ぶことができる。4WDモデルもラインナップされているため、雪が降るような地域で走らせないといけない人にも、候補のひとつとなるだろう。

グレードは、ベーシックなXG、質感にこだわり装備を充実させたXL、XLにさらにクルーズコントロールやパドルシフトなどを採用した上級グレードのXS、2011年に追加された特別仕様車で欧州仕様と同様のチューニングを施したスポーティなRSが用意されており、XG、XL、XSにはそれぞれDJEという低燃費化技術を搭載したグレードも存在する。ホイールも、XGは15インチ、XLとXSが16インチと異なるので、好みが分かれるポイント。

インテリアも先代と比べ、ブラックにシルバーの加飾で引き締められたことによってスポーティさを増している。前席にはSRSエアバッグも全車標準装備されているから安心である。

スズキ スイフト▲室内では、スピードメーターとタコメーターの間にマルチインフォメーションディスプレイが設置されるなど、ユーザーインターフェイスにも配慮されている

50万円以内の中古車状況を見てみると、2WDなら全てのグレードが満遍なく出回っているので、検討しながらお気に入りの1台を見つけることができるはずだ。

また前述したとおり4WDの設定もあるが、そもそもの掲載台数が少ないため、2WDに比べて50万円以内の物件はかなり少ないため、こまめなチェックが必要だ。

普段用として使いたいのはもちろん、ドライブが趣味で走りの面でも楽しみたいという方にオススメしよう。
 

▼検索条件

スズキ スイフト(3代目)×総額50万円以下×2011年式以降×走行距離10万km以内×修復歴なし×全国
 

日産 マーチ(4代目)

生産期間:2010年7月~2022年12月
中古車平均価格:48.2万円

 

日産 マーチ▲丸いヘッドランプやアーチを描くサイドウインドウなどのエクステリアデザイン、多彩なボディカラーが特徴の4代目マーチ

2010年のフルモデルチェンジを受けて国内生産からタイでの生産となり、グローバルカーとなった4代目マーチ。国内では2022年まで発売されたが、50万円ほどの予算で購入できるのは2018年ごろまでの物件といったところだろう。

フロントのデザインは3種類存在する。まずは2010年に登場した、フロントマスクに直線的なデザインが入ったもの。次に、2013年のマイナーチェンジを受け、フロントグリルのVシェイプのメッキ加飾やヘッドライトのクロームアクセントなどが変更されたもの。インテリアはポップなデザインで、シートなどもブラック以外に明るいカラーを採用している。

さらに、マイナーチェンジによって登場した、Xグレードをベースとしたオーテックのカスタムカー「ボレロ」。フロントマスクにメッシュデザインをあしらっていたり、インテリアもワインカラーを基調とするなど、エレガントさをテーマに内外装をコーディネイトしている。他の人とは違った個性を出したい方にピッタリ。

パワートレインは1.2リッター直列3気筒エンジンで、トランスミッションはCVTに2段変速の副変速機を組み合わせた「新世代エクストロニックCVT」を採用する。燃費はJC08モードで22.6km/L(10・15モードで26km/L)といったところ。

日産 マーチ▲車内も丸みを帯びたデザインとなっており、「かわいらしい」車といえる

グレードは12S、12X、12Gがあり、上位グレードの12Xと12Gには4WDの用意やアイドリングストップ機能が備わっているが、予算50万円でも十分狙えるためオススメ。

また、予算内では少し数は減るものの、マイナーチェンジ後モデルも狙えるため、同じ価格帯であれば積極的に選びたい。

そして、4代目マーチにはマイナーチェンジ前後に関わらず4WDの設定もあるが、50万円以内では主に前期型のものがターゲットになってくる。
 

▼検索条件

日産 マーチ(4代目)×総額50万円以下×2011年式以降×走行距離10万km以内×修復歴なし×全国
 

トヨタ スペイド(初代)&ポルテ(2代目)

生産期間:2012年7月~2020年12月
中古車平均価格:54.2万円(スペイド)/53.1万円(ポルテ)

 

トヨタ スペイド▲「クールメカニカル」がキーワードのスペイド
トヨタ ポルテ▲楕円をデザインモチーフとするポルテ

ミニバンでは大きすぎる方にオススメする小型ハイトワゴン。ポルテは、当時「プチバン」とも言われ、初代登場時から話題となった。ユーティリティの高さから人気車種となり、2代目へと進化した車である。

2012年のフルモデルチェンジとともに、新車種である兄弟車のスペイドも登場した。

最大の特徴は、運転席側はヒンジ式のドアを2枚備えるのに対し、助手席側のドアが、開口幅1020mm、開口高さ1250mmの大開口電動ワイヤレススライドドアであるということ。

ポルテの外観は、2代目も丸みを帯びた見た目は変わらずソフトな印象に。一方、兄弟車のスペイドは精悍でクールなデザインをスタイリッシュな印象に仕上げている。

パワートレインは1.3リッター直列4気筒と、1.5リッター直列4気筒エンジンの2種類が設定され、燃費は1.5リッターの2WD車でJC08モード 20.6km/Lとなる。

インテリアは、普段の買い物や送迎から、アウトドアや長距離ドライブといった様々な用途に適応し、使い勝手に優れる室内空間となっている。前席は、ベンチシートとセパレートシート仕様が設定されているので、中古を探す際は選ぶポイントのひとつにするといい。また、快適温熱シートやステアリングヒーターも採用しているグレードもあるので、寒さの面を気にする人にもありがたい。

トヨタ ポルテ▲コンパクトカーながら車内はかなり広々としている(写真はポルテ)

グレードは1.3リッターモデルにV、X、1.5リッターモデルにX、Y、F、Gがそれぞれ用意されている。ポルテの方がやや平均価格は高いものの、両車とも十分に50万円以内の物件が見つかる。

1.5リッターの全グレードに4WDの設定や、アイドリングストップ機構の採用がなされていたり、2WD車はセンタートンネルがないのでフラットなフロアになっていたりと少しずつ仕様が違うので、低予算の中でも好みを妥協せず細かく選ぶことができるだろう。
 

▼検索条件

トヨタ スペイド(初代)×2011年式以降×走行距離10万km以内×修復歴なし×全国

▼検索条件

トヨタ ポルテ(2代目)×2011年式以降×走行距離10万km以内×修復歴なし×全国
 

スズキ ソリオ(2代目)

生産期間:2011年1月~2015年7月
中古車平均価格:42.5万円

 

スズキ ソリオ▲街中での取り回しに優れたコンパクトなサイズながら、広い室内空間が確保される

1997年にワゴンRワイドとして登場し、2005年に登場した後継モデルよりソリオとなった。2011年のフルモデルチェンジを受け登場した2代目モデルは、新プラットフォームを採用し、広大な室内空間と走行性能の高さを両立している。

コンセプトテーマは「乗って楽しく、使って便利、燃費も優れたコンパクトハイトワゴン」であった。

子育て世代だけどミニバンに用意されているような3列目は使わないし、そこまで大きな車は必要と感じない、などなど。そんな方に、トヨタ ポルテ&スペイドと同様にオススメしたい小型ハイトワゴンのひとつ。ソリオは、先代からの使い勝手や抜群な取り回しをさらに進化させて人気を博した車だった。

フロントマスクだが、特にソリオバンディットはフロントにメッキを施し、ライトは鋭いデザインを採用したことにより、個性的でクールな装いを演出。

そして左右どちらもスライドドアを採用しており、誤って隣の車へドアパンチしてしまった……という心配もいらない。また、挟み込み防止機構付のパワースライドドアと、スライドドアクローザーの採用もあり、子育て世代にも安心だろう。

フロントガラスは大きく、運転席はシートの位置が高めなので視界を広く確保することができ、シートレイアウトは前後のシート間で行き来ができるセンターウォークスルーを採用し使い勝手は良好。ちなみに後席も左右それぞれスライドすることが可能だ。

スズキ ソリオ▲当時のクラストップレベルの広さを誇る室内空間

発売から間もない2011年11月に一部改良が行われ、アイドリングストップ機能を追加したモデルも登場。リアに「IDLING STOP」と表示されている車体が目印であるが、予算50万円以内でも狙うことが可能。

また、スタイリッシュな外観が特徴のソリオバンディットも、通常モデルよりは高めとなり選択肢は減るものの、50万円で狙うことができる。
 

▼検索条件

スズキ ソリオ(初代)×2011年式以降×走行距離10万km以内×修復歴なし×全国
文/瀬イオナ 写真/篠原晃一、尾形和美
瀬イオナ

自動車ジャーナリスト

瀬イオナ

車メディアの雑誌編集部員を経て、2024年にフリーランスとして独立。「走って書ける」自動車ジャーナリストを目指して修行しながら、若手ジャーナリストとして活動中している。車業界に入ったきっかけは、某動画で中谷明彦師匠を見つけたこと。現在に至るまで「ドライビング」はもちろん「ジャーナリスト」の心得など業界におけるすべてを教わりながら日々鍛錬中である。趣味はドライブ、レーシングカート、サウナ。