ミニクロスオーバー ▲最新のミニ カントリーマンが登場したことで“先代”となったF60型ミニクロスオーバーですが、様々な点でまだまだ十分に魅力的であるような気がしいたます。それゆえカントリーマンの登場によってお手頃相場になってきたF60型ミニクロスオーバーについて、今あらためてチェックしてみたいと思います!

車名は「ミニ クロオーバー」から「ミニ カントリーマン」に変更

今から約1年前の2023年11月、それまでは「ミニクロスオーバー」と名乗っていたコンパクトSUVの全面改良版が、ついに「ミニ カントリーマン」として発売されました。

ミニクロスオーバーも、本国や海外では本来の「カントリーマン」を名乗っていました。しかし日本では商標の関係で「クロスオーバー」と名乗っていたわけですが、やっと本来の車名に戻ったことをうれしく感じているミニファンも多いことでしょう。
 

ミニクロスオーバー▲こちらが新型ミニ カントリーマン
ミニクロスオーバー▲ミニ カントリーマンのボディサイズは全長4445mm×全幅1845mm×全高1660mm

新型ミニ カントリーマンは名前が変わっただけではなく、エクステリアデザインはミニマルでありながら力強い存在感を放つものに変わり、広々とした印象を与えるインテリアは完全にデジタル化。ステアリングホイール背後のメーターパネルは廃止され、すべての情報表示はヘッドアップディスプレイと円形の有機ELセンターディスプレイに集約されています。

そしてギアセレクターレバーやなどもセンターディスプレイ下のトグルスイッチエリアに集約。前席まわりの空間が広がったことで、なかなかモダンかつスタイリッシュな雰囲気になりました。また最先端の先進安全機能「ドライビングアシストプロフェッショナル」が標準装備されるなど、充実したADASの採用も魅力といえるでしょう。
 

ミニクロスオーバー▲大型の円形ディスプレイに操作系を集中させている新型ミニ カントリーマンの運転席まわり

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ミニ ミニカントリーマン(初代) × 全国
 

先代も依然として魅力的なのでは?

新型ミニ カントリーマンが魅力的なモデルであることは間違いありません。

とはいえ、先代にあたる「最終型ミニクロスオーバー」も、依然として大いに魅力的であるような気がいたします。
 

ミニクロスオーバー▲こちらがF60こと先代ミニクロスオーバー

新型カントリーマンの「ミニマルな内外装デザイン」はいかにも今どきっぽい感じでおしゃれですが、最終型クロスオーバーのややデコラティブな(装飾的な)デザインも、これはこれで素敵です。

むしろ「先代のデザインの方が好きかも?」と感じる人も少なくないのでは?
 

ミニクロスオーバー▲デジタル時代のトレンドど真ん中といえるシンプル系デザインになった新型カントリーマンのインテリア
ミニクロスオーバー▲こちらは先代クロスオーバー。やや装飾的なこちらのデザインを好む人も多いのでは?

そしてパワーユニットも、新型のエンジンはもちろんブラッシュアップされ、新たにBEVも登場していますが、エンジン自体が完全に刷新されたわけではないため、「先代も新型もおおむね同じ」とざっくり言うことはできます。さらにはボディサイズも新型はずいぶん大きくなりましたので、「最終型クロスオーバーぐらいのサイズの方が好ましかった」と感じる人もいるでしょう。

といいますか、それより何より大事なのは「価格」かもしれません。

新型ミニカントリーマンの新車を買うとなると、一番安いグレードでも総額500万円を超えます。しかし先代ミニクロスオーバーであれば、マイナーチェンジ後の後期型・低走行物件でも総額300万円ちょいから狙うことができるのです。
 

 

中古車を絞り込むうえで知っておくべきグレードの差異は?

最終型ミニクロスオーバーは2017年2月から2024年5月までの長きにわたって販売され、様々なグレードがラインナップされました。

その期間内に登場したすべてのグレードについて詳細に解説しようとすると、かなりのボリュームになってしまいます。そのためここでは「最低限これだけ知っておけばおおむねOK!」というニュアンスで、最終型ミニクロスオーバーのグレード関係を整理してみます。

【パワーユニットによる違い】
最終型ミニクロスオーバーには合計7種類のパワーユニットが用意されました。そのパワーユニットごとに、以下のグレードに分類することができます。

●最高出力102ps/最大トルク180N・mの1.3L直3ガソリンターボ
→「ワン」「バッキンガム(特別仕様車)」に搭載(※後期型バッキンガムは最大トルク190N・m)

●最高出力136ps/最大トルク220N・mの1.5L直3ガソリンターボ
→「クーパー」に搭載

●最高出力192ps/最大トルク280N・mの2L直4ガソリンターボ
→「クーパーS」に搭載

●最高出力150ps/最大トルク330N・m(※後期型は350N・m)の2L直4ディーゼルターボ
→「クーパーD」に搭載

●最高出力190ps/最大トルク400N・mの2L直4ディーゼルターボ
→「クーパーSD」に搭載

●1.5L直3ガソリンターボ(136ps)+モーター(88ps)のプラグインハイブリッド
→「クーパーS E オール4」に搭載

●最高出力231ps/最大トルク350N・mの2L直4ガソリンターボ
→「ジョン・クーパー・ワークス」に搭載(※後期型は最高出力306ps/最大トルク450N・m)
 

ミニクロスオーバー▲強力な2L直4ガソリンターボエンジンを搭載する「ジョン・クーパー・ワークス」

【駆動方式による違い】
最終型ミニクロスオーバーの駆動方式はFFが基本です。しかし湿式多板電磁クラッチを備えたフルタイム4WDもラインナップされ、それらはクーパーDなどのグレード名の後ろに「オール4(ALL 4)」と表記されます。オール4はクーパーDとクーパーSD、そしてプラグインハイブリッドのクーパーSEに用意されています。

また、ジョン・クーパー・ワークスは「オール4」というグレード名にはなっていませんが、こちらもフルタイム4WDです。
 

ミニクロスオーバー▲フルタイム4WD機構が搭載される「オール4」

【世代的な違い】
最終型ミニクロスオーバーは2020年9月にマイナーチェンジを行い、内外装デザインと装備内容などを変更しました。

実際のデリバリー(納車)タイミングはグレードによりバラつきがありますが、基本的には2020年9月のマイナーチェンジ以前の世代が「前期型」、それ以降の世代が「後期型」と呼ばれています。
 

ミニクロスオーバー▲こちらが前期型のフロントマスク
ミニクロスオーバー▲こちらは後期型。バンバーの形状が変更されるとともに、LEDヘッドライトの形状を丸形から角形に変更。ヘッドライトにはコーナリングライト機能とデイライト機能が全車標準装備となった
 

中古車の買い方①|「お手頃予算」を重視するなら総額200万円前後の前期型クーパーD

2024年12月下旬現在、最終型ミニクロスオーバー全体としては約740台の中古車が流通しており、その価格は総額130万~560万円というイメージです。

その中から「できるだけ安価で、しかしコンディションはまずまず良好で」という条件で探してみると、総額180万~230万円ぐらいのゾーンに“それ”が集中していることがわかります。

そのゾーン内でなるべくお手頃なものを……と探すと、最廉価グレードである「ワン」と特別仕様車「バッキンガム」が該当してきそうそうなイメージはありますが、実はワンとバッキンガムの流通量は希少。実際には、このゾーンにおける中心的なグレードは中間グレードの「クーパーD」です。もう「このゾーンのほとんどがクーパーD!」と言っても過言ではない状況になっています。
 

ミニクロスオーバー▲お手頃価格帯の主役となっているのが「クーパーD」(※写真はクーパーSD オール4)

現在、走行5万km台までのクーパーDは総額180万~230万円付近で30台ほどが流通しており、その中でも「総額200万円ちょいぐらい」の予算感でサーチすれば、お手頃かつ好条件なクーパーDが見つかるはずです。
 

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ミニ ミニクロスオーバー(2代目) 2017年2月~2020年8月 × クーパーD × 全国
 

中古車の買い方②|「後期型」にこだわるなら総額300万台半ばから後半の予算で

前期型をお手頃予算で狙うのも悪くありませんが、新型ミニ カントリーマンに負けないぐらいの満足感を得ようと思うなら、2020年9月以降の後期型がオススメとなります。
 

ミニクロスオーバー▲デザインセンスと中古車としての年式が新しい点が魅力となる後期型

前期型のお手頃物件はクーパーDのほぼ一択でしたが、後期型であれば様々なグレードから選ぶことができます。ただしガソリンターボ車の流通は少なめで、大半はディーゼルターボエンジン搭載グレードです。

で、多種多様な後期型ディーゼルターボから「コレがオススメ!」と無理やり決めてもいいのですが、それはナンセンスというものでしょう。なぜならば、車に関する好みと予算、そして使用用途などは本当に人それぞれであるからです。

そのため、ここでは「事実」を下記に端的にまとめるにとどめますので、あとは好みと財布と相談しつつ、ご自身で選んでいただければと思います。

【後期型の流通量と価格目安】
●クーパーD|約100台|総額270万~440万円
→注目ゾーンは総額320万~350万円

●クーパーD プレミアムプラスパッケージ|約30台|総額350万~490万円
→注目ゾーンは総額390万~440万円

●クーパーD オール4|約30台|総額350万~450万円
→注目ゾーンは総額360万~400万円

●クーパーSD オール4|約40台|総額380万~490万円
→注目ゾーンは総額380万~440万円

流通量が豊富で価格も比較的手頃なクーパーDが探しやすいとは思いますが、「もっとパワフルなグレードがいい」という人もいるでしょう。そのあたりの価値観は、繰り返しになりますが人それぞれです。

また少しお高くはなりますが、クーパーDのプレミアムプラスパッケージは、「ドライビング・アシスト」「パーキング・アシスト」「リアビューカメラ」「スマートフォン・インテグレーション」「ワイヤレスチャージング」がセットになった、利便性と安全性が高いパッケージです。普通のクーパーDよりも値は張りますが、こちらもぜひチェックしてみてください。
 

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ミニ ミニクロスオーバー(2代目) × 2021年9月~ × 全国
 

中古車の買い方③|「ジョン・クーパー・ワークス」狙いなら前期型は総額300万円前後、後期型は400万円台前半で

強力なL直4ガソリンターボに、スポーティな足回りと意匠を組み合わせた「ジョン・クーパー・ワークス」。乗り心地は固めですが、「そこが逆にイイ!」という人も多いでしょう。

そんなジョン・クーパー・ワークスの流通量は全国で60台弱と、いささか少ない状況です。しかし総額220万~560万円付近にて「それなりの数が流通している」というのは確かですので、ちょっと頑張れば普通に探せるはずです。
 

ミニクロスオーバー▲こちらは最高出力231psの2L直4ターボを搭載する前期型ジョン・クーパー・ワークス
ミニクロスオーバー▲そしてこちらはミニ史上最強の最高出力306psをマークする2L直4ターボを搭載した後期型ジョン・クーパー・ワークス
 

2024年12月下旬現在、前期型および後期型ジョン・クーパー・ワークスの流通量と価格イメージは下記のとおりとなっています。

●前期型|約20台|総額220万~390万円
→注目ゾーンは総額280万~330万円

●後期型|約40台|総額400万~560万円
→注目ゾーンは総額400万~450万円

つまり前期型で良しとするなら「総額300万円前後」が目安となり、後期型でいきたい場合は「総額400万円台前半」が目安になるということです。

前期型と後期型のどちらを選ぶべきかというのは、一概にはいえない問題です。エンジンがより力で鬼のように速いなのは、もちろん最高出力306psに変わった後期型ですが、ミニクロスオーバーというSUVにそこまでのパワーと速さが必要かどうかは、意見が分かれるところでしょう。とはいえ乗り味については、鬼のように速い後期型の方がややマイルドであるというジレンマもあります。

難しい問題ではありますが、ここは「予算に余裕があれば後期型、そうでなければ前期型」という、当たり前の結論にならざるを得ません。そして相対的に安価な前期型ジョン・クーパー・ワークスも、硬めな乗り味を問題視しないのであれば、非常にいい車です。そのため予算の多寡ににかかわらず、あえて前期型を探してみるというのもオツかもしれません。
 

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ミニ ミニクロスオーバー(2代目) × ジョン・クーパー・ワークス × 全国
文/伊達軍曹 写真/ミニ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。