【名車試乗】トヨタ スープラ80|思わず「速い」と唸らせる、約20年前の最終型・最上位モデル
2024/06/21
細部まで凝られた外観デザイン
「スポーツカー的なスープラ」といえば、このJZA80型を頭に思い浮かべる方が多いのではないだろうか。私もその1人だ。
当時、神宮外苑の絵画館前周辺で行われた試乗会では、スポーツカーとして説明を受けたことを思い出す。
トヨタのミッドクラスのスポーツカーとしての系譜は、このモデルからいまに続いている。
日本では2代目となる80型のスープラ。重量配分やラウンドしたデザインは、超高速域まで耐える空力的なボディである。
上級車種の基本プラットフォームを146mm短くして、運動性能とねじれ剛性の向上を図った。
また、2JZ-GTEのターボエンジン搭載モデルは、ブレーキにもフロント4ポッド、リア2ポッドの剛性の高いキャリパーを使い制動力性能を高めている。
いま改めて思い返しても、志の高さを感じられる1台だ。あれから30年ぶりの試乗に胸が高鳴る。
試乗したモデルは、2002年式の「RZ」だ。最後期型ということで最も完成度が高いといえる。
エンジンも2JZ -GTEに可変バルブタイミング(VVT-i)を追加したモデルである。日本仕様と輸出モデルでは最高出力と特性に違いがある。
昨今、名機と呼ばれる6気筒ユニットはあるが、トヨタを代表するエンジンだ。鋳鉄製ブロックはタフで剛性が非常に高く信頼性がある。
当時は好きなデザインではなかったが、いま改めて見ると各部が非常に凝ったフォルムで、フェンダーの処理が美しい。
エンジンフードも低く構えていて、サイズも写真で見るよりもずっと塊感がある。
加速に十分たえうる高剛性ボディ
インテリアは、ドライバーオリエンテッドで極めてスポーティだ。レトロフィットのレカロSR3のセミバケットシートは懐かしく、そしてホールド性とソフトな心地が落ち着く印象を受ける。
ドアを閉めると剛性感の高さから、しっかりとしたボディであることが理解できる。これは期待が持てそうだ。
クラッチを踏んでエンジンを始動。整備された2JZ は集大成だけあって、バランスが取れた燃焼だ。
ドイツのゲトラグ製233型の6速トランスミッションはR32の日産 GT-Rと同様の形式だが、トヨタではV160もしくはV161型となっている。当時は「ゲトラグ6速」というだけでBMWのMシリーズが思い浮かんだもので、一度は操作してみたいトランスミッションだった。
ミートポジションが分かりやすいクラッチを操作して1速に放り込みスタートだ。
VVT-iが装着された2JZ-GTEは低回転からリニアなトルクで、30年前とは思えない粘り強いユニットだ。シーケンシャルツインターボもラグを感じさせないほどなめらかに、加給圧を上昇させる。
ちなみに、ゆっくりとスロットルを開ければ加給圧は急には上昇しない。アクセレーションの兼ね合いによって得られる出力特性がそのモデルの意図するポジショニングを教えてくれる。
1速は引っ張らずにゆったりとした発進に使用して、2速で少し深く速く踏み込む。十分な加速だ。速い。加速時のフロントも非常に落ち着いていることから、サスペンションとアライメント系は万全だ。
素性の素晴らしさと整備が万全であることを教えてくれる。剛性の高いフロントまわりと安定した制動力はスポーツドライビングには欠かせない。アクセルを踏み込んだときのロードホールディングも安定している。
回転が高い状態のときのシフトアップも実にスムーズだ。大きなトルクに負けないトランスミッションである。
改めてではあるが、今回試乗させていただいているのは22年前のモデルである。だが、古さを感じさせない。評価が高いモデルとは、まさに時代を超越したモノなのだと理解できる。
スープラ80はそういった意味では、万人でも楽しめスペシャリストも納得のいくリアルスポーツモデルなのだ。
スープラ(80型)をはじめ、往年の名車に乗れるサービス
「Vintage Club by KINTO」では試乗したスープラ(80型)をはじめ、往年の旧車を借りられるサービスを展開している。各車両の整備はトヨタ自動車やレストアを手がける新明工業が行う。
レンタルできるモデルは下記サイトを参照。
また、2024年6月19日~9月29日までの期間は静岡キャラバンとして、静岡県各地のディーラーで「セリカXX(A60型)」「スープラ(70型)」「スープラ(80型)」などのレンタルが展開される(※6月19日~7月6日はトヨタカローラ静岡 富士店にて80スープラの展示企画のみ)。
詳細、レンタルの予約は下記のリンクより。
【試乗車 諸元・スペック表】
●スープラ(80型) 3.0 RZ
型式 | GF-JZA80 | 最小回転半径 | 5.4m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.52m×1.81m×1.28m |
ドア数 | 3 | ホイールベース | 2.55m |
ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.52m/1.53m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.58m×1.48m×1.07m |
4WS | - | 車両重量 | 1510kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 1730kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.13m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
スーパーホワイトII、シルバーメタリック、ブラック、スーパーブライトイエロー、グレイッシュグリーンマイカメタリック、ブルーマイカメタリック、スーパーレッドIV |
||
オプション色 |
- |
||
掲載コメント |
- |
型式 | GF-JZA80 |
---|---|
駆動方式 | FR |
ドア数 | 3 |
ミッション | 6MT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | スーパーホワイトII、シルバーメタリック、ブラック、スーパーブライトイエロー、グレイッシュグリーンマイカメタリック、ブルーマイカメタリック、スーパーレッドIV |
オプション色 | - |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.4m |
全長×全幅× 全高 |
4.52m×1.81m×1.28m |
ホイール ベース |
2.55m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.52m/1.53m |
室内(全長×全幅×全高) | 1.58m×1.48m×1.07m |
車両重量 | 1510kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1730kg |
最低地上高 | 0.13m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | 2JZ-GTE | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 70リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | 9km/L |
総排気量 | 2997cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 280ps | 最大トルク/回転数 kg・m/rpm |
46/3600 |
エンジン型式 | 2JZ-GTE |
---|---|
種類 | 直列6気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 2997cc |
最高出力 | 280ps |
最大トルク/ 回転数kg・m/rpm |
46/3600 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 70リットル |
燃費(10.15モード) | 9km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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