ドアを閉めたら別世界。静粛性・走り・デザインすべてが圧倒的なレベルの「アウディ A8」
カテゴリー: アウディの試乗レポート
2018/10/16
技術・クオリティともに最高峰のアウディ A8
フラッグシップモデルの意味は、「単に真似できない高級車」をアピールするだけではない。
価格に見合った高い技術力を発揮し、今後発売されるモデルへの搭載を予感させる意図がある。
アウディは、技術とクオリティをモットーにしている自動車メーカーだ。特にクオリティは各社がベンチマークしているほど素晴らしい出来栄えだ。
今回はその中でも、最もアウディらしさが遺憾なく発揮されているフラッグシップモデルの新型“A8”の試乗である。わずかな時間ではあったが、軽井沢で試乗することができたので、そのインプレッションをお伝えしたい。
ボディデザインは基本的には抑揚をつけず、水平基調としている。これは高級車のセオリーと言ってもいい。しかし、A8の違いはロングノーズに見せるデザインを排除して四輪の力強さを表現している。高級車では見られなかった前後のフェンダーに4つのプレスラインを採用し、四輪を強調した。初代アウディスポーツクーペの考え方をソフトに取り入れた形だ。
アウディは縦置きエンジンだが、フロントドライブが基本であったためにオーバーハングが長くスポーティなデザインに苦労していたた。しかし、技術力によってエンジンを後退させてノーズを短く運動性能を向上させながら、独特な世界観をこの高級車A8から強く押し出している。
重厚感の高いボディパネルは、隙間を最小限にとどめてモノフォルムに近い造形を作り出している。サイドにあるアルミ合金のモールディングは高精度のつくりとしっとりと柔らかい質感により、金属であるがソフトに感じるつくりの良さだ。
ドアを開けてシートに腰を落ち着かせた瞬間から別世界が体感できる。それはまず静粛性だ。
試乗会の当日はとても強い雨が降っており、雨音は自車内でも聞こえるほどであったが、A8に乗り込みドアを閉めると静寂が広がるのだ。
手に触れる部分はひんやりとするメタル類、もしくは樹脂製だが金属に限りなく近いメッキを施している。
エクステリア同様にインテリアも水平基調でクリーンな空間が広がる。ドライバーズカーとして満足感の高い調度品も所有する喜びを感じるはずだ。
悪天候の試乗でも遺憾なく発揮された優れた走行性能
今回、試乗で乗り込んだモデルはA8の60TFSI quattroという、4リッターV8の460馬力仕様だ。660N・mを超えるトルクと、マイルドハイブリッドが装着されていることもあり、走り出しのスムーズさは高級とはこういった動きをするのだというゆとりが存分に感じられる。
軽井沢では旧三笠ホテルの前を通る、タイトなコーナーが連続する白糸ハイランドウェイを走る。雨音と路面の濡れた音は皆無だ。1945mmという全幅にも関わらず、前方を無駄に長くしないデザインとクリーンなボンネットのおかげで見切りはとてもいい。ブラインドのコーナリングが連続する道も不安はない。
落ち着いたボディは、路面の凹凸もエアサスペンションでしなやかにかわしていることがよくわかる。どんな道でもゆとりを揺るがすことはない。それがコンフォートを大切にしたフラッグシップモデルの役割だ。A8はそのあたりを別次元で快適性をもたらしてくれるのだ。
そこから視界が広がる路面が整った浅間白根火山ルートを通って、鬼押出しまで走ることにする。
長い直線は乗り心地と気持ちを優雅にさせて疲れを癒す。長い上りの勾配でもエンジン出力の変化を最小限に抑え、静粛性・揺れがなく乗員をゆとりある乗り心地へと誘う。このままもっと遠くへ行きたい衝動に駆られるだろう。
高速でコーナに入っても、運転が今以上に上手になったかと思うような、路面に吸いついたハンドリングにより常にフラットな車内空間を作り出し、人と物に安定感を与えるのだ。
また、23個のセンサーによって安全にドライブできる素養は、量産車としてトップクラスである。これらのセンサーは自動運転も視野に入れている。
A8はそれらを積極的に導入して、これからのアウディのイノベーションを感じさせる最新で最速のモデルである。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:Audi A8 60 TFSI quattro
■乗車定員:5名
■エンジン種類:V型8気筒DOHCインタークーラー+ターボ
■総排気量:3996㏄
■最高出力:338(460)/5500 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:660(67.3)/1800~4500[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:電子制御式8AT
■全長x全幅x全高:5170 x 1945 x 1470(mm) ■ホイールベース:3000mm
■車両価格:1510万円(税込)
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