▲サスペンションはレスポンスを重視したセッティングに、連続可変ダンピングコントロールも最適化された。4WDは前40%、後60%で駆動を配分、0→100km/h加速4.9秒となる ▲サスペンションはレスポンスを重視したセッティングに、連続可変ダンピングコントロールも最適化された。4WDは前40%、後60%で駆動を配分、0→100km/h加速4.9秒となる

V8に物足りなさを感じるなら「V8 S」の出番

以前、ベントレーのセールスマンにインタビューしたとき、同じモデルであってもW12とV8を選ぶ層はまったく異なる、そしてやはりV8を選ぶ層が着実に増えているという話をしていた。さすがに両者の間にある約500万円もの価格差はベントレーを買える層であっても、小さくないということだろう。

フライングスパーはそもそも後席ではなく、運転席に座り自らステアリングを握るドライバーズカーだ。したがって、600psを超えるW12までは必要ないが、フツーのV8じゃ物足らない、そんなデマンドがあったとしても不思議ではない。そこでW12とV8のあいだをつなぐ「V8 S」の出番というわけだ。

4L V8ツインターボエンジンの出力はベースの507ps/660N・mから528ps/680N・mへと向上している。エクステリアではグリルをグロスブラック仕上げにしバンパーを専用品に、ホイールサイズは21インチ(オプション)まで大径化され、サスペンションはスポーティチューニングが施されていた。インテリアでは2色のレザーを使い分け、ギアレバーとステアリングコラムに備わるシフトパドルにもお馴染みのローレット加工が施されている。

こうした「S」装備の数々から、ともすれば少しスポーティにすぎる乗り味をイメージするが、快適性はみじんも揺るがない。ゆっくり走ればエンジンは気筒休止で4気筒になり、がっつり踏めば最高速度は306 ㎞ /hに達するという絶妙なさじ加減だ。

▲ブラックのラジエターグリル、リアディフューザー、グリルインサートなどを備え、“伝統的デザイン”はよりスポーティなスタイルに ▲ブラックのラジエターグリル、リアディフューザー、グリルインサートなどを備え、“伝統的デザイン”はよりスポーティなスタイルに
▲ピアノブラックや左右対称に木目を合わせたウッドなど、手作業で仕立てられる上質な室内。シートなどに天然レザーを使用。密閉性向上、吸音パネルや防音材の最適化などで静粛性を高めた ▲ピアノブラックや左右対称に木目を合わせたウッドなど、手作業で仕立てられる上質な室内。シートなどに天然レザーを使用。密閉性向上、吸音パネルや防音材の最適化などで静粛性を高めた
▲ブランドバッジの“ウイングド B”は赤いエナメルで12気筒モデルと差別化。ホイールにも赤いバッジが付く。標準ではペイント仕立ての20インチホイールを装備 ▲ブランドバッジの“ウイングド B”は赤いエナメルで12気筒モデルと差別化。ホイールにも赤いバッジが付く。標準ではペイント仕立ての20インチホイールを装備

【SPECIFICATIONS】
■グレード:V8S ■乗車定員:4/5名
■エンジン種類:V8DOHCターボ ■総排気量:3992cc
■最高出力:528/6000[ps/rpm]
■最大トルク:680/1700[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:8AT
■全長x全幅x全高:5315x1985x1490(mm) ■ホイールベース:3065mm
■車両価格:2100万円

text/藤野太一
photo/ベントレーモーターズジャパン、柳田由人