ヒョンデ コナ エレクトリック▲2023年3月に本国でモデルチェンジしたコナのBEV版。前輪駆動のコンパクトなSUVは、今秋に日本導入が予定されている

ヒョンデのデザイン力は世界トップレベル!?

昨年、日本に再上陸した「ヒュンダイ」改め「ヒョンデ」。でも従来どおり、英語表記は「Hyundai」なのでちょっとややこしい(笑)。日本再上陸時に導入された刺客は、電気自動車(BEV)の「IONIQ 5(アイオニック5)」と、燃料電池車(FCEV)の「NEXO(ネッソ)」の2台でした。

「アイオニック5」はヘッドライトをはじめ、各所に使われている四角いパラメトリックピクセルがユニークで、個性的なその姿は一度見たら忘れられないほどのインパクトです。

ちなみにピクセルとは、コンピューターで画像を表す最小単位。その独創的なデザインはデジタル感と先進感が満点です! 去年、神奈川県小田原市で行われた試乗会のときに、たまたま会場のホテルを訪れたお客さまが「アイオニック5」を見て、「この車なに?」と驚いている様子が印象的でした。

エクステリアだけではありません。インテリアも先進感MAX! 自然由来の素材が使用されています。そして乗り味もパワフルで快適。久ぶりに日本に導入されたヒョンデがこんなにも進化していることに、驚きを隠せませんでした。2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーの「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、日本の自動車専門家からの評価が高いのもうなずける話です。

BEV第2弾として今秋、といってももうすぐ日本導入が予定されているのが「コナ エレクトリック(KONA Electric)」。アイオニック 5と比べるとコンパクトなサイズでリーズナブルな価格になるはずの「コナ エレクトリック」は、私が思うところ、ヒョンデの本命、本気モデルではないかと思うのです。

「コナ」シリーズは、ヒョンデの故郷である韓国ではすでに販売されていて、ガソリンモデル、ハイブリッドモデル、スポーティカスタムモデル、そしてBEVの「コナ エレクトリック」をラインナップ。プラットフォームには共有の「K3プラットフォーム」を採用しています。日本導入は「コナ エレクトリック」の一択。すでに2023年5月、日本でもカモフラージュをまとった姿でメディア向けに公開されています。
 

ヒョンデ コナ エレクトリック▲超急速充電器「E-Pit」。2025年までに韓国国内で150ヵ所に設置されるそう
ヒョンデ コナ エレクトリック▲地下駐車場に並ぶコナ エレクトリック。試乗会は韓国・高陽市にあるヒョンデ モータースタジオ 高陽をスタート地点に行われた

さて、その「コナ エレクトリック」に試乗するため、いざ韓国のソウルへ。

まずは、ソウルの江南地区にある「ヒョンデ モータースタジオ ソウル」へ。「コナ エレクトリック」や「アイオニック5」のデザインのルーツ、1974年に発表したジョルジェット・ジウジアーロが手がけた初代ポニー/ポニークーペなどが展示されていて、ヒョンデの歴史について理解を深めます。

それから試乗のため、高陽(コヤン)市にある「ヒョンデ モータースタジオ 高陽」へ。

私がいたグループは、ヒョンデの現行型ラインアップを視察した後、ロボットによる組み立てのデモンストレーションや、自動運転や衝突安全といった、ヒョンデの最新技術の見学からスタートしました。

そこで感心したのは、その見せ方というか表現方法。これがヒョンデのデザイン力なのかと、まざまざと見せつけられます。どれもハイセンスで、まるで華麗なショーのよう……。

さらに、地下駐車場でヒョンデの超急速充電器「E-Pit」を見学。今回の試乗では実際の充電には立ち会いませんでしたが、出力260kWで0~80%充電を18分で行えるそうです。2025年までにこの充電器を、韓国国内に150ヵ所設置するそう。

このように韓国には、普通充電、急速充電、超急速充電が揃っているのです。アイオニック5のタクシーや日本では見かけないBEVも結構見かけるのは、こういった充電インフラの効果があるのかも。余談ですが、韓国では、電気自動車のナンバープレートはブルーとなります。
 

ヒョンデ コナ エレクトリック▲前方の交通状況に応じて回生ブレーキの量を自動調整するスマート回生システムを採用

そして、いよいよ「コナ エレクトリック」試乗会のスタート地点へ。

今回試乗したのは韓国仕様車で最高出力203.9ps(150kW)、最大トルク255N・mのモーターと64.8kWのバッテリーを搭載した航続距離の長いロングレンジモデル。1回の充電での最大航続距離は368km韓国産業通商資源部認定距離)。ボディサイズは、全長4355mm、全幅1825mm、全高1575mm、ホイールベースは2660mmです。

エクステリアデザインで印象的だったのは、アイオニックシリーズ同様に四角い「ピクセル」をフロントやリアに多用した直線的なLEDデイタイムランニングライト。よく見るとライトバーの中もピクセル型となっています。サイドビューは、Z型のキャラクターラインが入っています。アイオニック5は逆Zだったのに対し、コナ エレクトリックは正Zというのも面白い。アイオニック5と比べると、若干丸みがかっているので、そこまでトンガった印象はありません。

19インチのホイールとタイヤは KUMUHO 9の235/45 R19。トランク容量は466L。ボディカラーは華やかな赤(アルティメートレッドメタリック)。カーキ色のようなミラージグリーンも素敵です!

インテリアはシンプルでスッキリとしていて、12.3インチのスクリーンが2つ並ぶ「デュアルパノラミックディスプレイ」が採用されているなどデジタルな印象が強いですが、意外にも物理スイッチが多い印象も受けました。また、車内のアンビエントライトはドライブモードと連動して色が変化します。前方視界は良好でスッキリしているものの、個人的にはダッシュボードの高さが若干気になります。

試乗コースは、仁川空港近くのネストホテルまでの往復105km。行先をカーナビにセットしてもらい先導車付きのカルガモ走行。

走り出しは静かでマイルドなフィーリングでしたが、駐車場を出るときの上り坂でさっそく本領発揮。元気にグイグイ上っていきます。そのあとは高速メインのルートでしたが、どの速度からも加速はのびやか。

ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツ、スノーから選択が可能。スポーツモードを選択するとアクセルを踏んだ瞬間のレスポンスが良くなります。ただ、高速巡行時のステリングの軽さがちょっと気になるかも。回生ブレーキの強さはパドルシフトで4段階から調整でき、回生力を最強にするとワンペダルモードになります。

ユニークなのは、ヘッドアップディスプレイに出てくるカメラマーク。これは高速道路などのスピード違反の取り締り用カメラの表示なのですが、かなり頻繁に登場します。先導車に乗るインストラクターが、トランシーバーで何度もカメラやスピードのことを注意していたので、韓国は監視カメラの数が多く交通規制が厳しいのでしょう。その対応なのか、ACCの速度を少し高めに設定しても、カメラマークが出る場所では制限速度まで自動で落としてくれるので、うっかりミスが防げます。ちなみに音声ナビは英語でした。

韓国では高速道路などの分岐では実際の道路上で色分けされていますが、ナビでも同じ色で表示されるので直感的に認識できます。これはナビもそうですが、韓国の道路標識が優秀なのかもしれません(笑)。

「アクティブ・サウンド・デザイン」という疑似音の音量を3段階での設定が可能ですが、これは気分的な装備なのかも。

折り返し場所のネストホテルには、フロントバンパーの充電ポートで充電も給電も可能というコナ エレクトリックのイメージ展示をしていました。日本仕様ではここがCHAdeMO対応となるそうです。あと、使われているアウトドア用(?)テレビがお洒落~。

最後まで韓国のデザイン力に刺激を受けた今回のコナ エレクトリック海外試乗会でした!

日本での販売価格は500万円前後くらいかな……。そちらも気になる~(笑)。
 

ヒョンデ コナ エレクトリック▲試乗車は最高出力203.9psのモーターと64.9kWのリチウムイオンバッテリーを積むロングレンジモデル。134.6psのモーターと48.6kWのバッテリーを搭載したベーシックモデルもラインナップ
ヒョンデ コナ エレクトリック▲フロントとリアに備わる一直線のシームレスホライゾンランプが特徴的。ボディ下部のピクセルグラフィックはBEVモデル専用デザインとなる
ヒョンデ コナ エレクトリック▲フロントのトランクスペースやアクティブ エアフラップなど、いろいろなBEV専用装備が備わる
ヒョンデ コナ エレクトリック▲2つのディスプレイを用いたすっきりしたデザイン。コラムシフトを採用、ステアリングには回生のレベルを変更するパドルスイッチも
文/吉田由美 写真/ヒョンデ モーター カンパニー、吉田由美
吉田由美

カーライフ・エッセイスト

吉田由美

短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクターを経て「カーライフ・エッセイスト」に転身。車回りのエトセトラについて独自の視点で、自動車雑誌を中心にTV、ラジオ、WEB、イベントなどで広く活動中。様々な車を紹介するYouTube「吉田由美ちゃんねる」も好評配信中!

ライバルとなるプジョー e-2008の中古車市場は?

プジョー e-2008

2020年、ガソリンエンジンモデルのフルモデルチェンジに合わせて登場したBEVのコンパクトSUV。全長4305×全幅1770×全高1550mmと一般的な機械式立体駐車に対応するサイズと、205mmの最低地上高で使い勝手を高めている。最高出力136ps/最大トルク260N・mのモーターで前輪を駆動、50kWのリチウムイオンバッテリーを搭載することで、一充電航続距離を380km(WLTCモード)とした。

2023年9月前半時点で、中古車市場には50台ほどが流通しており、平均価格は380万円。走行距離が少ない物件が多く車両コンディションにばらつきが少ないので、ボディカラーや仕様を優先して選べる。
 

▼検索条件

プジョー e-2008× 全国
文/編集部、写真/Stellantisジャパン