BMW 7シリーズ ▲BMWのフラッグシップモデルの7シリーズは、BMWらしい走りも楽しむことができるラグジュアリーセダン

予想以上にリーズナブルになっていた現行型7シリーズ

1977年にBMWのフラッグシップセダンとして登場した7シリーズ。いわゆる最高級セダンという位置づけのモデルではありますが、他メーカーのフラッグシップシップセダンとは大きく異なる点がありました。

それこそが、BMWのコーポレートスローガンでもある「駆けぬける歓び」を体現するモデルに仕上がっているということ。

どういうことかというと、他のフラッグシップセダンはオーナーが後部座席に座り、お抱え運転手が運転を担当する「ショーファードリブン」として開発されているのに対し、7シリーズはオーナー自らがステアリングを握ることも想定した「ドライバーズカー」に仕上がっているというワケなのです。

BMW 7シリーズ ▲ドライバーズカーとはいえ、当然ながらリアシートはラグジュアリーな仕上がり

そのキャラクターは6代目となった現行モデルでも変わらず、高級セダンとしての装備を備えながらもBMWらしい走り味も楽しめるモデルに仕上がっています。

そんな高級フラッグシップセダンである現行型7シリーズですが、直近10月の平均価格を見てみると、2019年1月に比べて140万円以上下がり500万円台となっています。安いものでは、300万円を切る物件も登場してきました。

BMW 7シリーズ ▲こちらは2019年1月~2021年10月の現行型シリーズの平均価格推移。昨年も一時500万円台に足を踏み入れたことがあったが、今年の4月以降は500万円台で推移している

2015年10月に登場した現行型7シリーズは、326psを発生する直列6気筒3Lターボエンジンを搭載した740系と、450psを発生するV型8気筒ツインターボエンジンを搭載する750系というラインナップでスタート。それぞれに、ロングホイールベース版の「L」とスポーティな「Mスポーツ」が用意されていました。

フラッグシップモデルだけに先進装備も抜かりなく、前方の路面を監視して路面状況に合わせてエアサスペンションを制御する「エグゼクティブ・ドライブ・プロ」が用意されるほか、車線や前走車を検知してステアリングの自動操舵を行うクルーズコントロール「ステアリング&レーン・コントロール・アシスト」を含むドライバー支援システム「ドライビング・アシスト・プラス」を全車標準装備。

そして特に話題を集めた、世界初の車を外から操作できる自動パーキングシステム「リモートパーキング」など、先進装備が多数搭載されていました。

BMW 7シリーズの平均価格推移グラフ ▲こちらは触れずにインフォテイメントシステムを操作することができる「ジェスチャーコントロール」

2016年10月には、直列4気筒2Lターボエンジンにモーターをプラスしたプラグインハイブリッドモデル「740e iPerformance」と、610psを誇るV型12気筒6.6Lエンジンを搭載し四輪を駆動させる最上級グレード「M760Li xDrive」を追加するなど、ラインナップの拡充が図られました。

さらに、直列6気筒のディーゼルエンジンを搭載した「740d」系を2017年8月に追加し、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドと様々なパワートレインの中から選ぶことができるようになっています。

比較的価格が下がっているのはこれらの前期型が中心で、2019年6月に登場したグリルが大型化された後期型はまだまだ高値安定。では、相場情報からどんなことが読み取れるのでしょうか?

BMW 7シリーズ ▲2019年6月のマイナーチェンジでは、大型化されたキドニーグリル、メーターパネルの刷新など内外装の意匠変更が施された。こちらは、同じ現行型でも登場から間もないため価格はまだ高め

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BMW 7シリーズ(現行型・6代目) ×全国

現行型BMW7シリーズの掲載台数と平均車両本体価格の推移は?

前述のとおり、2019年1月の時点では728.4万円とまだまだ高価だった現行型7シリーズですが、2021年10月時点では583.7万円とおよそ150万円近く平均価格が下がっています。

新車時価格は1000万円を超えるモデルなので、登場から5、6年程度で半額近くなっているということになります。

一方の掲載台数は2019年度は300台前半で推移していましたが、今年に入ってからは400台を超える台数となっており、デビュー当初に購入したユーザーが2回目の車検(5年目)を迎えるにあたり、新型への乗り替えが進んだのでは? と推測できます。

フラッグシップモデルを狙う層は、現行型であることにこだわるユーザーも多いため、2019年6月に登場した後期型に注目が移ったと言えそうです。ゆえに、前期型の価格が下がり、現在のような相場となっているのではないでしょうか?

では、お得感が出てきた現行型7シリーズの前期型を狙うなら、どんな仕様がオススメなのでしょうか?

BMWのシルキーシックスをフラッグシップで楽しみたい!
740i系 × 車両本体価格350万円未満

BMW 7シリーズ ▲人気の「Mスポーツ」も350万円の予算で狙うことができる(写真はロングホイールベース版)

7シリーズにはよりパワフルなV型エンジンがラインナップされていますが、やはりBMWといえば「シルキーシックス」とうたわれた直列6気筒エンジンもオススメ。

最も素のモデルである740i系にはロングホイールベース版の740Li系も存在しますが、自らステアリングを握るのであれば、やはりスタンダードホイールベースの「740i」がオススメではないでしょうか。

エントリーグレードとはいえ、そこはさすがのフラッグシップモデル。新車時は1217万円というプライスタグが付けられていただけあって、標準装備は必要十分なもの。

しかも、車両本体価格を平均価格を大きく下回る350万円で絞ってみても20台ほどがヒットし、中には走行距離5万km未満の物件や、人気のMスポーツも射程圏内となるので狙わない理由はないでしょう。

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BMW 7シリーズ(現行型・6代目) ×740i系×車両本体価格350万円未満×全国

充電設備があるならプラグインハイブリッドもオススメ!
740e系 × 走行距離5万km未満

電気自動車であるBMW iシリーズで培った技術を投入したプラグインハイブリッドモデルの740e系は、システム合計で326ps/51.0kg・mという出力を誇り、3Lターボモデルを上回るトルクをもつモデルです。

そして、9.2kWhという大容量の駆動用バッテリーをもつことで、2トンを超える重量級のボディをカタログ値で42kmまでEV走行させることも可能で、近距離の移動であれば一切排出ガスを出すことなく目的地にたどり着くことも夢ではありません。

満充電までは普通充電でわずか4時間と、自宅にコンセントさえあれば寝ている間にフル充電することも十分可能という点も魅力です。

BMW 7シリーズ ▲家庭用の200V電源で満充電までわずか4時間というプラグインハイブリッドモデル

そんなプラグインハイブリッドモデルの740e系ですが、走行距離5万km未満としても車両本体価格300万円台の物件が多く、非常にコストパフォーマンスに優れた1台と言えそうです。

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BMW 7シリーズ(現行型・6代目) ×740e系×走行距離5万km以下×全国

V12エンジンを積む760系やディーゼルモデルの740d系では、前期型でも1000万円前後の物件も存在します。しかし、一方で上記のオススメ物件のように、同じ前期型でも300万円台で狙える物件も存在するため、「果たして自分は何を重視しているか」を考えてみることが重要です。

もちろん、大パワー大トルクのモデルも魅力的ですが、素の7シリーズでもフラッグシップモデルにふさわしい乗り味を楽しむことは十分可能ですから、初の高級輸入車としてもオススメの1台ではないでしょうか。

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BMW 7シリーズ(現行型・6代目) ×全国
文/小鮒康一 写真/BMW
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車はリーフ、初代パルサー、NAロードスター、S660。