ランボルギーニ ウラカン▲ガヤルドの後継モデルとして2014年に日本上陸を果たした、V10自然吸気エンジンを搭載する2シーターミッドシップ。テクニカは公道、サーキットを問わずドライビングの楽しさや理想のライフスタイルを求めるドライバーに向けて開発されたという後輪駆動モデル

テメラリオよりコンパクトに高性能を楽しめる

2025年夏。ついにサンタガータの主力モデルが代替わりした。ウラカンからテメラリオへ。しかし、今回のモデルチェンジは前回のそれ、ガヤルドからウラカンへ、とは全く意味合いを異にするものだった。

自然吸気V10からV8プラグインハイブリッドへ。最大のポイントはパワートレインの電動化であることは間違いない。けれどもテメラリオにはさらに大きな秘密が隠されている。それは車格のグレードアップだ。

従来のラインナップはフラッグシップのアヴェンタドール V12を頂点に、ウラカン V10(アウディ R8と姉妹)、そしてウルス V8(ポルシェ カイエンやベントレー ベンテイガと姉妹)というブランドヒエラルキーだった。

今はどうか。レヴエルト V12にテメラリオ V8、そしてウルス V8。すべてプラグインハイブリッドであること以外、一見同じような構成に見える。しかし、その内容がまるで違っていた。

ウルスは電動化でパワーアップ、というシンプルな進化だ。しかし、テメラリオのパフォーマンスアップはアヴェンタドールをも一気に抜き去るものだった。ほとんど両フラッグシップ体制と言っていいほどの性能を誇っている。そして事実上、レヴエルトとテメラリオは“姉妹車”。つまりアウディ R8のようなグループ内の姉妹車はもはや存在しない。レヴエルトとともに完全自社専用モデルになった(だからこそ、この2台はサンタガータ内姉妹として開発されなければならなかった)。

テメラリオには未試乗だけれども、おそらくそのパフォーマンスはレヴエルトと同等で、よりスポーツ志向、刺激的であるに違いない。スーパーカーとしては正しい進化だろう。けれどもその一方で、レヴエルトのアヴェンタドールからのあまりの進化幅を目の当たりにした結果、凄くなりすぎると推測されるレヴエルト姉妹車テメラリオよりも、よりコンパクトに高性能を楽しめたウラカンがかえって恋しくなってしまった。
 

ランボルギーニ ウラカン▲垂直なリアウインドウを採用し視認性を向上。バンパーや六角形のテールパイプなどのデザインも変更されている
ランボルギーニ ウラカン▲最高出力640ps/最大トルク565N・mを発生する5.2L V10エンジンを搭載

V10を意のままに操れるRWD

テメラリオはウラカンの後継ではない。これで終わった“スモールランボ”である。

だからその真の最終章であるウラカン テクニカはもっと注目されていいモデルだと思う。末期になっていろんな限定車が登場し、すっかり影が薄くなったが、ひとつの完成形であろうと思う。

ウラカン テクニカはEVO RWD(スタンダードグレード)とSTOとのギャップを埋めるべくして生まれた。パワートレーンをはじめシャシー制御の数々もSTOのそれを踏襲しつつ、スタイリングをよりロードカーらしく仕立て直した。

とはいえ、スタンダードグレードとは雰囲気がかなり違う。エアロダイナミクスや冷却性能の向上の結果として改変されたフロントの特徴的なデザインは、電動コンセプトカー「テルツォ・ミッレニオ」をほうふつとさせ、レヴエルトとの共通性もあった。伸びた全長とサイドウインドウまわりのデザイン変更によって、真横から見たスタイルにはサーキット専用モデル「エッセンツァSCV12」との共通性さえ発見する。
 

ランボルギーニ ウラカン▲フロントマスクやリア、サイドウインドウまわりなど従来モデルから大幅に変更されていた

その走りは完熟のウラカンにしてシリーズベストというべき極みに達していた。街乗りはさすがに少々ハードな味付けで、路面のザラつきもわかりやすく伝えてくる。けれども速度を上げていくとライド感にフラットさが増し、そんな雑味も気にならなくなる。70km/hを超えてくれば十分に快適だ。特にドライブモード「ANIMA」をストラダーレにセットしておけば硬めだが車好きウケするライドフィールに徹する。

態度が豹変するのはANIMAをスポルトもしくはコルサに変えた瞬間からだ。サウンドがいきなりラウドになってV10エンジンが急に熱を帯びて回り始める。素晴らしいのはそのサウンドクオリティ。V10特有ながら輪郭のぼやけた感じがまるでなくなり、一本筋の通った美しい音色を発するようになった。

DCTの制御も明らかに進化している。特にアップシフトの心地よさは、優秀だった以前のウラカンに比べてもまださらに上等で心地よい。DCTの気持ちよさはダウンよりアップにありという特性に磨きをかけた。

STOと同じシャシー制御を与えたというだけあって、ワインディングロードではクラス最高レベルのドライビングファンを提供する。意のままとはこのこと。ライバルの硬派な高性能グレードと比べても“楽しさ”という点ではまるで遜色ない出来栄えだった。

自然吸気V10を意のままに操ることのできるRWD。思い返せば4WDのガヤルドに始まったV10ミッドシップシリーズだったが、最終章ではついにRWDでその性能に極めをつけた。これぞシャシー制御の進化の証しであろう。
 

ランボルギーニ ウラカン▲Y字型デザインのバンパーには、タイヤ側面に空気を流して空気抵抗を軽減させるエアカーテンが組み込まれている
ランボルギーニ ウラカン▲テクニカ限定のHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)を採用、サーキット走行時間などを記録するオンボード・ダイアリーなどが備わった
ランボルギーニ ウラカン▲スポーツシートを標準装備。軽量ドアなど、サーキット走行を想定したオプションも用意された
ランボルギーニ ウラカン▲エンジンフードにはV10のバッジが備わる

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文/西川淳 写真/タナカヒデヒロ

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。

先代となるランボルギーニ ガヤルドの中古車市場は?

ランボルギーニ ガヤルド

2003年のジュネーブショーでデビューした2シーターのミッドシップスポーツ。シャシーにはアウディのアルミスペースフレームを採用、リアミッドにV10自然吸気エンジンを搭載する。駆動方式は4WDとなるが、2009年に登場した限定車のバレンティーノ バルボーニをはじめ、後輪駆動車も後期モデルに設定されている。軽量高性能モデルのスーパーレジェーラなどもラインナップしている。

2025年1月上旬時点で、中古車市場には40台程度が流通。支払総額の価格帯は930万~2530万円となる。スパイダーは13台ほどが流通しており価格帯は1100万~3160万円。後輪駆動車は後期型のためまだ数台ほどしか流通していない。
 

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文/編集部、写真/アウトモビリ・ランボルギーニ

【試乗車 諸元・スペック表】
●テクニカ (LDF)

型式 7BA-ZFDGFB 最小回転半径 -m
駆動方式 MR 全長×全幅×全高 4.57m×1.93m×1.17m
ドア数 2 ホイールベース 2.62m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.67m/1.62m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS 車両重量 1379kg
シート列数 1 最大積載量 -kg
乗車定員 2名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

-

オプション色

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※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております
※車両重量は乾燥重量の数値となります

型式 7BA-ZFDGFB
駆動方式 MR
ドア数 2
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS
標準色 -
オプション色 -
シート列数 1
乗車定員 2名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 -m
全長×全幅×
全高
4.57m×1.93m×1.17m
ホイール
ベース
2.62m
前トレッド/
後トレッド
1.67m/1.62m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1379kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント ※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております
※車両重量は乾燥重量の数値となります
エンジン型式 - 環境対策エンジン -
種類 V型10気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 - 燃料タンク容量 80リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 5204cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 640ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
565(57.6)/6500
エンジン型式 -
種類 V型10気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 5204cc
最高出力 640ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
565(57.6)/6500
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 80リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -