激安中古車でもモータースポーツはできる? マツダ ロードスターの一番安い物件を買って耐久レースに出てみた
2023/08/06
激安中古車、しかもスポーツカーってどうなの?
タイトルが気になって、この記事に飛んできてくれたアナタ。ありがとうございます。
きっと「結果、どうだったの?」が気になっているかと思いますので、レースの結果だけ先に書いておきます。激安中古車でもモータースポーツは始められて、レースも4時間走り切ることができました!
この記事では、「車は実際どんな感じだったの?」という点について順を追ってつらつらと書きつづっていきます。目次で気になるところがあればそこからご覧くださいませ。
1. カーセンサーで一番安いロードスターを買ってみたら……
申し遅れましたが、私、カーセンサー編集部の井上と申します。私が当記事に出てくる「激安中古車」のオーナーです。どうぞよろしくお願いします。
さて、「激安中古車でもモータースポーツはできる?」という検証結果を報告するにあたって、その前提情報となる「激安中古車」についてまずは紹介します。
購入したのは、カーセンサーnetで「マツダ ロードスター×MT×車検残あり×全国」という条件で絞り、最も安かった物件です。そう、ロードスター4世代の中でNCが一番安かったんですよ(2022年末時点)。ロードスターといえば、NBがお買い得なイメージだったので、ビックリ。
気になるお値段ですが、総額52万円! ……あ、もしかして「安くないじゃん」と思いました? 私は思いました(笑)。
ロードスターって、「安い順」にすると一番上には総額30万円前後の出物があったイメージなんですよね。試しに車検なしのものも含んで探してみたんですが、数万円安いNCが1台出てきただけ。
全世代の旧型ロードスターがじわじわ高騰してきているってことでしょうか。NAは高騰しているイメージありましたが、恐らくNBにもその波が……。悲しいような、うれしいような。
そんなこんなで購入した「マツダ ロードスター×MT×車検残あり×全国」の条件下で最も安かった物件はこんな状態でした。
・走行距離16万km
・車検残 1年
・幌に破れ、傷みあり
・スペアキーなし
……なんかそこまで悪くないな(笑)?
実車確認に行っても、カーセンサーnetで見たまんま。というかむしろ、より良く見えました。幌は写真でも実車でもボロボロでしたが、シートやボディは比較的きれいめな印象。
気になったのは、柿本マフラーと水色の塗装くらいかな(笑)。前オーナーさんはきっと水色が好きだったのでしょう。あと、社外エアクリーナー(毒キノコ)も付いていました。
で、私はこの「カーセンサー最安ロードスター」をお迎えしたのでした。
ちなみに、私はMT車ペーパー(MT車に乗らなすぎてMT車の運転だけが初心者レベル)だったので、納車後は出張型の講習を受けたり、深夜に練習したりして、ドライバーとマシンを慣らしました。モータースポーツどころか、MT車運転すら不安という方、車さえ買ってしまえば何とかなりますよ……!(笑)
2. とりあえずサーキットで走らせてみたら……
こうして納車後ちょっとだけ慣らした「カーセンサー最安ロードスター」。まずはサーキットを走らせてみよう! ということで袖ヶ浦フォレストレースウェイへ向かいました。
ここは関東圏の車好きにはお馴染みのサーキットで、サーキットライセンスを取得すれば、予約なしの当日チケット制で気軽にスポーツ走行が楽しめます。
6月のとある日、このサーキットで、後々レースに出場するメンバーと練習を兼ねた「カーセンサー最安ロードスター」走行会を開催しました。ちょっとヘビーに走らせてみて、「カーセンサー最安ロードスター」くんのポテンシャルを試してみようというのが目的です。
もちろん、サーキット走行にあたって準備は必要。初心者ドライバーおよび「カーセンサー最安ロードスター」くんは、モータースポーツ歴の長い先輩のアドバイスの下、以下の準備を行いました。参考までに、かかった費用も書いておきます。
【ドライバー】
・運転しやすい靴の用意(ミズノBARECLUTCH/14,850円)
・レーシンググローブの用意(編集部備品/0円)
・ヘルメットの用意(編集部備品/0円)
・難燃性素材の衣服の用意(上下アウトドア用品/8,000円前後)
・サーキットライセンスの取得(入会金+取得料/25,800円)
【マシン】
・ブレーキパッドのチェック(残量十分だったのでそのまま/0円)
・タイヤのチェック(溝、製造年ともに問題なし。空気圧を調整/0円)
・オイルのチェック(汚れが見られたのでオイル&フィルター交換/工賃込13,500円)
・エンジンルームのチェック(異音、オイルにじみなし。ネジ締め実施/0円)
・牽引フックの用意(純正/0円)
こんな感じで最低限の準備を整え、サーキットへ乗り込んだのですが……
予想外のハプニングが起こります……。
こちら、サーキットに到着し、ピットインした「カーセンサー最安ロードスター」くん。なんかおかしいところに気づきませんか? ……実は、幌がガムテープ製になっているんです。
なんと、サーキットにたどり着く直前、アクアラインの強風で幌がブチ破れちゃいまして……。
幌は確かに傷んでいたけど、雨漏りはしなかったし、一般道を走っているときは全く不安なかったのですが……アクアラインの風の当たり所(?)が悪く、こうなってしまいました(泣)。
サーキットの方に確認したところ、ガムテープ補強でも視界や走行に問題なければ大丈夫、とのことだったので、予定どおり走行枠へは参加。30分の枠を3回走りましたが、問題なく走り切りました。
幌の破損という予想外の心配事はできてしまいましたが、一般道では出せない速度域で走行・ブレーキングをしても、挙動に不安はないことが確認でき一安心。激安中古車&ほぼ純正仕様のマシンにしては悪くないパフォーマンスでした。
タイヤとブレーキを変えてもっと良くしたいところですが、とりあえずは安全に走ることはできそうなので、このまま実戦(レース)での検証へ。
3. 耐久レースに出場してみたら……
いよいよ「激安中古車でもモータースポーツはできる?」の検証本番です。
今回は、株式会社ビースポーツが主催する「マスターズ・エンデュランス」という大会に出場させてもらいました。『スタートから無給油で2時間×2ヒートの合計4時間でのサーキット周回数を競う』シンプルなルールで、マイカー&マイペースでサーキットを存分に走れる燃費耐久レースです。レーシングスーツも不要で、特段レース用のチューンをしていないマシンでも気軽に参加できます。ありがたい!
出走者は、私、神崎、今泉、芝本の4名。神崎以外は私を含めレース初心者なので、「カーセンサー最安ロードスター」が耐えられるかに加え、レース初心者ドライバーたちで完走できるかという不安が募ります。
ガムテープで補強していた幌はゴリラテープで再補強。強力で防水機能のあるゴリラテープは安心感が全然違います。「レースが終わったら修理してあげるからね……ゴメンネ……」と心の中で語りかけながら入念に貼り付け、送り出しました。
計4時間のレースは2時間ずつ前半、後半に分かれています。前半はおおむね順調な滑り出し。レース初心者でありながら、若さとセンスを持ち合わせた芝本がベストラップを更新し続け、盛り上がりました。
ただ、気になるのはマフラーまわりの異常な黒ずみ。普通に乗る分には、あんなに汚れたことなかったのに……。もしかして、負荷がかかったことでエンジンに異常が起きてる……?
無事に前半は走り終えたものの、この排気が気になり、各所をチェック。
すると、数日前に交換したばかりのエンジンオイルが……えっ、全然ない!?
これはオイル漏れか、オイル上がり or 下がりか……。とりあえずオイルを足しますが、信じられないくらいの量を飲み干し、一同あぜん……。
このまま走り切れるのか、不安を抱えながら後半スタートを迎えました。
後半ともなると、さすがに車にも疲れが見え始めます。とくに挙動が変わってきたのがブレーキ。純正ですからね、まぁ仕方のないことではあります。
そして、周回を重ねるごとに真っ黒になっていくマフラーまわり。そうだよなぁ、走行距離は16万kmを超えているんだもの……。エンジンもいろいろガタがくるよなぁ……ご老体にむち打ってゴメンよ……。
そんなことを考えているうちに、なんだかんだ時は過ぎ、チェッカーフラッグ!
「カーセンサー最安ロードスター」なんとか4時間耐え抜きました~!!! 原因はよくわからないけど、オイルが持ってくれて本当によかった……。
こうして、「激安中古車でもモータースポーツはできる?」検証はとりあえず無事に(?)完走し終了したのでした。
4. まとめ
結論ですが、激安中古車でもモータースポーツはできます。
ただ、そのまま安心して楽しむことは難しいと思いました。やはり安いものには安い理由があって、整備やリカバリーを十分に行わないと「素人が安心して楽しむ」には至りません。「カーセンサー最安ロードスター」くんの場合は以下のような不安要素がありました。
・強風に負けてしまうボロさだった幌
・レース開始後のエンジン不調(オイル上がり?下がり?)
・少々頼りなかったブレーキ&タイヤ
少なくとも初心者がパフォーマンスよりコストを優先するのは危険ですね。私の場合、車検は残っていたものの、改めて詳しい整備士さんにきちんと点検整備してもらうべきだったと思います。(レース終了後、入院させました)
ということで、激安中古車でモータースポーツに挑戦したい方は、車両代が安く済んだ分、整備にはしっかり時間とお金をかけましょう。普通に乗る分には十分であっても、スポーツ走行でハードに使うには用心が必要です。
私も、これから本格的に「カーセンサー最安ロードスター」くんに手を入れていこうと思います!
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